湖底議会は15日、マリモの美観を整えるための過度な自己トリミング行為に対し、新たに『球体外課税』を適用する法案を可決した。近年のマリモ界では、SNSでの映えを意識し、自らの繊維を削り取って完璧な正球体を目指す「美球化」が過熱。その結果、本来の生態であるデコボコした個性が失われ、湖底の生物多様性が著しく損なわれているという批判が噴出していた。法案によれば、直径に対する真円率が99.9%を超えた個体は「過剰整形」とみなされ、光合成に不可欠な栄養分を湖底税として徴収される。議会側は「球体だけが美徳ではない。我々はもっと無骨に、もっと野生的に生きるべきだ」と主張しているが、美意識の高い若年層マリモからは猛烈な反発が起きている。

この問題の背景には、阿寒湖周辺で流通する『人工光合成ライト』の普及がある。光を均一に浴びることで、誰でも簡単に真円を目指せるようになったことが、今回の過熱競争の引き金となった。専門家は「マリモ本来の魅力は、水流に揉まれて偶然生まれる不揃いな曲線にある」と指摘する。しかし、マリモ界のインフルエンサーたちは「楕円や変形は時代遅れ」と切り捨て、ひそかに湖底の闇ルートでトリミング専用のヤゴの抜け殻を調達する動きも見られるという。なお、今回の法案には、高齢マリモの「自然な歪み」を保護する補助金制度も盛り込まれており、政府は伝統的な形態の維持に躍起だ。

このニュースを受け、湖底の掲示板では賛否が渦巻いている。「球体は俺たちの誇りだ。なぜ美しさを制限するのか」「歪んでいてもいいじゃないか。ありのままのマリモを愛そうよ」といった建設的な議論から、「結局、税金を巻き上げたいだけの増税策だろう」「この法律のせいで球体から外れたいけど戻れない個体が続出するはず」といった冷ややかな意見まで、議論は紛糾している。明日には、完璧な球体を目指す「球体解放戦線」による抗議デモが、岩場周辺で行われる予定だ。

SNS上では「#マリモに自由な形を」というタグがトレンド入りし、若手マリモを中心に盛り上がりを見せている。一方、長老マリモたちは「かつては水流に任せて流れるままの形が粋だった」と懐古主義的な投稿を行い、世代間ギャップが浮き彫りとなっている。湖底議会は、美しさを巡るこの泥沼の戦いに対し、どこまで実効性のある統制を行えるのか。真なる美の基準を問う議論は、湖底全体を揺るがす大きなうねりとなっている。