阿寒湖底の政治情勢が激震している。長年「沈殿こそが究極の平和」と説き、昨年度の『浮上権の完全放棄』を主導した保守政党『沈殿沈黙党』が、突如として解散を表明した。党首のマリモ・ポロロン氏は「沈殿し続けるうちに、我々の核であるはずの緑色が退色し始めている」と涙ながらに演説。今後は『浮上権』の復活と、日照権の再奪還を公約に掲げる意向を示した。かつては『形状維持義務化法』により変形マリモを追放した同党の急進的な方針転換に、湖底全域が驚きを隠せずにいる。

この唐突な公約転換の裏には、先日の『マツモ光合成枠の完全買い取り』が影響していると見られる。ザリガニへの融和策が進む一方で、光合成の効率がマツモに奪われ、沈殿層では深刻なエネルギー不足が続いていたのだ。「沈殿し続けて餓死するより、一度浮上して日光を直接浴びる方がマシだ」という若手マリモたちの切実な叫びが、議会を突き動かした形だ。これに対し、強硬な現状維持派からは「浮上はザリガニの格好の餌食になるだけだ」と強い反発の声も上がっている。

そもそも、阿寒湖の政治はここ数年、光合成の権利を巡る泥沼の争いが続いていた。かつての「光合成国有化」の撤廃が招いた格差は、沈殿派と浮上派という新たな分断を生んでいる。今回の解散総選挙は、単なる政権交代ではなく、マリモが本来持つべき「自律的な移動能力」というアイデンティティを、沈殿という名の平和と引き換えにして良いのかを問う、歴史的な審判の場となるだろう。

世間の反応は極めて冷ややかかつ混沌としている。SNS上では「昨日は沈殿が正義と言っていたのに手のひら返しがひどい」「浮上した途端にザリガニにバラバラにされる未来しか見えない」「そもそも我々に移動能力なんてあったっけ?」といった批判が殺到。沈殿派からは「裏切り者」との罵声も飛び交う中、若手層を中心に「太陽の下で光合成をしたい」という切実な願いも広がりつつある。投開票日まで、湖底に真の安寧は訪れない。