湖底の平和を脅かす宿敵として知られる水草のマツモが、今度はマリモの体毛を強引に絡め取り、自らのファッションの一部として利用する「天然エクステ行為」が多発していることが明らかになった。かつては光合成の場所を奪い合うだけのライバル関係にあった両者だが、昨今の湖底ファッション界における『モフモフ感』ブームに便乗したマツモ側が、マリモの表面に自身の枝葉を不法投棄する形で「おしゃれ」を自称しているという。専門家は「これは単なる縄張り争いを超えた、尊厳を傷つけるマナー違反だ」と激怒しており、マリモたちは自らのアイデンティティである球体シルエットを保つため、必死の回転運動でマツモを振り払うという過酷な日常を強いられている。

そもそもマツモは湖底において「自ら動けない分、他者に依存する」という生存戦略をとることで知られていたが、今回の件は依存の域を明らかに逸脱している。マツモがマリモに絡みつくことで、マリモ側は重心のバランスを崩し、湖流に流されて思わぬ岩場へ衝突するという二次被害も報告されている。湖底警察は「他人の体に許可なく装飾を施す行為は傷害罪に該当する可能性がある」として監視を強めているが、マツモ側は「あれは共生という名のコラボレーションだ」と主張。泥バレー出身の最先端マリモたちはこれに対抗し、自身の表面に滑り止め加工を施すなど、防衛策のアップデートに余念がない。

本件の背景には、かつて流行した『正多面体化』や『武装化』といったマリモ界の過度な自己変革に対する、水草界隈からのルサンチマンがあると見られている。「丸くて癒やされるだけで持て囃されるのは不公平だ」というマツモ界の歪んだ嫉妬心が、あえてマリモの完璧な球体美を損なわせようとする卑劣なストーキング行動に火をつけたというのが通説だ。水質調査員によれば、マツモが絡みつく際に出す独特のフェロモンが、一部の若手マリモには「意外と心地よい」と誤解を与えている側面もあり、さらなる混乱が予想される。

この事件を受け、湖底市民からは「マリモの表面はプライベート空間だ」「マツモの独りよがりな美学を押し付けないでほしい」といった憤りの声が上がっている。一方、一部の過激なマツモ愛好家からは「緑のグラデーションこそ至高」といった擁護の声も上がり、SNS上では『#マリモに触れるな』と『#マツモによる緑化推進』というハッシュタグがトレンド入りする事態に発展した。平穏を取り戻すためのマリモ専用・毛玉ガードスプレーの開発も急がれているが、湖底の生態系を揺るがすこのファッションテロが収束する気配は未だ見えない。