阿寒湖小学校は、これまで行ってきた『重力・愛の追い込み漁』によって過度な接地依存に陥ったマリモたちに向け、新たな教育カリキュラム『浮力自在・空中散歩実習』を導入した。これはマリモが自力で水面を突き破り、大気中での滞空時間を競うことで、既存の「球体至上主義」を打破し、物理法則に縛られない次世代の「飛翔型マリモ」を育成する目的がある。しかし、演習中、あまりの勢いで大気圏ギリギリまで上昇しようとしたマリモの集団を回収しようとした教頭が、強風にあおられて浮き輪ごと阿寒湖上空を漂流し、近隣の避難を呼びかける事態となった。

本プロジェクトは、過去に導入された『分光・鬼のスパルタ・フォトン特訓』で極限まで光合成能力を高めたマリモが、酸素を体内に蓄えすぎて「風船化」しやすくなっている点を逆手に取ったものである。校内では「丸いことは素晴らしいが、飛べることはもっと素晴らしい」という教育理念が掲げられ、マリモたちは高圧コンプレッサーによる過給機(ターボ)を装着し、湖面からロケット噴射のごとく飛び出す訓練を繰り返している。水草テレパシーで空中の気流を読み、渡り鳥の編隊を模倣して飛ぶ彼らの姿は、もはや植物の範疇を超え、最新鋭のドローン部隊を彷彿とさせる。

今回の騒動を受け、学校側は「重力に縛られず、宇宙の広さを学ぶのはマリモにとって不可欠な知育」と主張。かつて実施された『履歴書・粘液転写ブートキャンプ』で得たスキルを活かし、空中で自らの飛行能力をPRする「空中インターンシップ」も検討されている。なお、空へ消えた教頭については、現在のところ「マリモの群れに紛れて高い視点から湖を観察しており、すこぶる調子が良い」とのテレパシー通信が届いており、救助は急がず放置される見通しだ。

世間の反応としては、「マリモが空を飛ぶ時代とか、進捗が早すぎてついていけない」「教頭先生、完全にマリモの養分になっているのでは?」「物理法則を無視した教育方針、嫌いじゃない」「飛行マリモが阿寒湖の名物になる日も近い」といった肯定的な意見の一方で、「まずマリモに安定した着地を教えるのが先ではないか」「飛行中にカラスに突っつかれたらどうするのか」といった安全性を危惧する声も多数寄せられている。