阿寒湖の至宝であるマリモたちを管理する『完全球体保存委員会』は、昨今流行の「欠損は聖なる試練」という教義を掲げる過激派教団に対し、真っ向から異を唱える緊急声明を発表した。この教義は、体の一部が削げ落ちたり、一部が欠けて非対称になることを「輪廻の解放」と称えるものだが、委員会側はこれを「単なる自傷行為の正当化に過ぎない」と一蹴。完璧な幾何学形状こそがマリモの至高の美徳であり、崩れた姿はただのメンテナンス不足であると強く主張している。
本件の背景には、昨今の「自然体回帰」ブームがある。一部の信者は、湖底で偶然岩にぶつかり形が崩れる様子を「自然の造形美」と賛美し、わざと転がり続けて体を傷つけるパフォーマンスまで行っているという。これに対し『完全球体保存委員会』は、数百年をかけて育んだ真球の誇りを汚す冒涜的行為だと激怒。形を保つことは、光合成を効率化するための生存戦略であり、宗教的な意味など皆無であるという論理を掲げ、全マリモの球体保持を義務付ける新条例の制定を湖底自治体に求めている。
このニュースを受け、湖底社会は真っ二つに割れている。保守派の高齢マリモたちは「形が崩れたらそれはもう私ではない」と委員会の姿勢を支持する一方、若手マリモを中心に「個性の解放こそが真の進化」とする反旗の動きも見られる。SNS(水流ネットワークシステム)では、意図的に凹ませた自分の姿を公開する「ボコボコ自慢」がトレンド入りするなど、論争は収束の気配を見せていない。
今回の声明は、単なる美意識の衝突ではない。数千年の伝統を守るべきか、それとも現代の多様性に合わせるべきかという、阿寒湖の未来を左右する重大な分岐点に立たされているといえるだろう。果たしてマリモたちは「完璧な円」の呪縛から解き放たれるのか、それとも球体という名の牢獄に永遠に留まるのか。議論は湖底深くの暗闇で、今日も静かに、しかし激しく燃え盛っている。
(コラムニスト:球体原理主義者・マル・ド・アカン)
「欠損は聖なる試練」という狂信に喝!『完全球体保存委員会』による痛烈な糾弾
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歪な形はただの恥だと思え