マリモ連邦国防省は本日、宿敵であるマツモ帝国が展開する『極細繊維による抱きつき外交』に対し、最終防衛ラインとなる新兵器『ハイドロ・パージ・スピン』の配備を完了したと発表した。マツモ帝国の粘着質な求愛行動により、過去半年間で数万個体の市民が身動きの取れない「緑の毛玉団子状態」に陥る被害が発生していた。これに対し、マリモ連邦は自身の内部に蓄積した酸素を極限まで圧縮し、回転による遠心力と同時に超高圧の気泡を噴射することで、絡みつくマツモの繊維を物理的に断ち切る戦術を確立。連邦議会は「愛は摩擦から生まれるが、一方的な抱きつきはテロである」と強調し、今後は全市民が自衛のために回転スピードを従来の時速0.02ミリから、最大で時速1.5ミリまで引き上げる訓練を義務付ける方針だ。

そもそも本件の根底には、光合成の効率を巡る生存競争がある。マツモ帝国は光を遮ることでマリモを栄養源として吸収しようと試みており、長年「湖底の寄生魔」として恐れられてきた。マリモ側はこれまで平和的解決として「光の分け合い」を提案してきたが、マツモ側の「抱きつけば全てが共有物」という独自の哲学が対話を拒絶し続けている。今やマリモ連邦の湖底境界線は、複雑に絡まり合う水草の繊維と、それを振り払おうとするマリモたちの回転で、さながら巨大な洗濯機のようなカオス状態にある。

国防省は「我々はあくまで中立的な回転を維持したいだけだが、過度な接近には毅然と対処する」との声明を出した。一方で、マツモ帝国の皇帝は「あれは抱きつきではなく、究極の同化を目指す友情のしるしである」と反論しており、両者の距離感は物理的にも政治的にも埋まらないままだ。国際社会からは「どちらが勝とうが、結局は水底の藻屑(物理的意味で)であることに変わりはない」との冷ややかな声も上がっているが、マリモ連邦は「回転こそが正義」と主張し、湖底全土での高速回転訓練を継続する構えだ。