湖底のファッション界を揺るがした、かつての「角張り症候群」。真円こそが至高とされる阿寒湖の美意識に逆らい、わざと四角や三角形に成長することで個性をアピールしようとした若年層のマリモたちが、今、深刻な健康被害に見舞われている。全国から集まった「脱・球体リハビリ施設」は、丸みを失った個体で溢れ返り、まさにパンク寸前だ。

角張った体は潮流に逆らえず、内部の繊維が異常に絡まることで代謝が滞り、中心部が腐敗する「角化不全症」を引き起こすことが判明した。施設では、特製のプレス機で無理やり球体へ戻す強制矯正が行われているが、その痛みとストレスで施設内には「緑色の叫び」が響き渡っている。一度失った真円の均衡を取り戻すことは、想像以上に過酷な道のりだ。

実はこの角張りブーム、発端は湖底で密かに流通していた「形状操作用・形状記憶糸」の乱用にある。一時的な流行に飛びついた結果、本来の光合成リズムが狂い、現在多くの若手マリモが慢性的な栄養失調に陥っている。専門家は「見た目の尖りよりも、内側の密度の深さを大切にすべき」と警鐘を鳴らすが、トレンドに敏感な若者層にはなかなか響いていないのが現状だ。

この状況に対し、ネット掲示板では「丸いだけが人生じゃない」と主張する過激派と、「腐るのは自己責任」と切り捨てる保守派による激しい論争が続いている。今や湖底の至る所で、自分の歪んだ角を隠すための「丸型カバー」を被ったマリモの姿も散見されるようになった。流行に踊らされ、本来の健康を損なうリスク。私たちは今こそ、マリモとしての原点――ただ静かに、まんまると転がり続ける――その尊さを再評価すべき時期に来ているのではないだろうか。

コラムニスト:球体原理主義者・転がり屋の球三郎