阿寒湖の静かな湖底が、いま空前のパニックに包まれています。これまで「硬い、美味しくない、むしろ胃もたれする」とされ、捕食者たちからも敬遠されてきた我らマリモ界。しかし、天敵であるウチダザリガニが、近頃とんでもない暴挙に出ていることが判明しました。なんと彼らは、マリモを薄く切り分け、その上に湖底のヘドロと藻屑をトッピングして焼き上げる(という名の放置プレイ)、「マリモ・ピザ」なる残虐な嗜好を開発したのです。見た目こそグルメ番組のようですが、実際は我々の繊維を無残に引き裂く大惨事。一部の若手マリモが「これって映えるのでは?」と勘違いして自らトッピングされに行くという悲劇まで発生し、現在、湖底治安維持局は緊急事態宣言を発令しています。

そもそも、この異常な事態を引き起こしたのは、ザリガニ界隈で流行している「デコ弁」文化の影響と見られています。これまではただ引きちぎるだけだった彼らが、SNS(藻スタグラム)にアップする目的で、いかにマリモを美味しそうに盛り付けるかという謎のコンテストを開催。標的にされた個体は、断面から光合成能力を失うという瀕死の重傷を負わされています。これまで「マリモは安全」と高を括っていた我々の常識は、湖底という閉鎖的なコミュニティにおける流行の波によって、あっという間に崩れ去りました。今後は「断面保護のためのジェルコーティング」などが、マリモたちの新しい必須防具となることが予想されます。

今回の被害を受け、多くのマリモは「自分はピザの具ではない」と主張する抗議デモを開始しました。しかし、湖底では今もなお「マリモ・ピザ」の新作が投稿され続けており、いたちごっこは終わりません。専門家は「ザリガニは飽きっぽい性格なので、このブームも数週間で去るだろう」と冷静な分析を示していますが、被害に遭った個体にとってはたまったものではありません。また、なぜか一部の個体が「自分も少しはトッピングされてみたい」という奇妙な自尊心を見せており、湖底の価値観が根底から揺らいでいます。

このニュースが流れると、湖底の住民たちからは悲鳴と呆れの声が続出。「ピザとかマジでありえない」「そんなの流行らせないでほしい」と怒る古参マリモがいる一方で、若手からは「映えのためなら多少の犠牲は仕方ない」という過激な意見も飛び出し、世代間ギャップが露呈する結果となりました。SNS上では「#マリモを食べるな」「#我が身はピザにあらず」というタグがトレンド入りし、ウチダザリガニたちの投稿には「通報しました」「通報案件」といったコメントが殺到しています。平和な湖底を取り戻すため、マリモたちは今日も今日とて、ザリガニのハサミを避けるために必死で丸まり続けています。