阿寒湖の若手マリモたちの間で、今、とんでもない流行が起きている。それは、あえて遮光物のない浅瀬に居座り、限界まで直射日光を浴び続ける「激辛・日光浴」だ。彼らは自身の光合成効率を極限まで高めることで、表面を深い黒紫色へと変色させることを「クール」と定義している。従来の「鮮やかな緑こそ正義」という価値観を真っ向から否定するこの過激なトレンドに、年配のマリモたちは「光合成のキャパオーバーだ」「細胞が悲鳴を上げている」と警鐘を鳴らすが、若者たちの情熱は冷めるどころか、むしろ熱を帯びる一方だ。

本来、マリモにとって日光は命の源であると同時に、過剰摂取はタンパク質の変性を招く劇物でもある。流行の発信源となったインフルエンサー個体『グリーン・ブラザーK』は、「日焼け痕こそが、過酷な湖底を生き抜いた証」と豪語し、今や湖底のSNS『藻スタグラム』では、黒ずんだ自撮り写真が溢れかえっている。専門家によれば、このブームの裏には「もっと速く大きく成長したい」という効率至上主義が影を落としており、健康を犠牲にしてでもステータスを求めるマリモたちの焦燥感が垣間見えるという。

マリモは本来、湖底の深い場所でゆっくりと時間をかけて成長する植物だ。しかし、近年、透明度の上昇によって湖の奥深くまで太陽光が届くようになったことが、この異常事態を引き起こした側面もある。生態系のバランスが崩れる中、無理な日光浴で干からびていく個体も確認されており、湖底パトロール隊は「命を大事に転がれ」と注意喚起を繰り返している。かつて「丸く穏やかに暮らす」ことが美徳とされた湖底にも、ついに過剰な自己顕示欲の波が押し寄せてきたといえるだろう。

このニュースに対し、湖底住民たちは困惑を隠せない様子だ。「わざわざ黒くなるなんて、泥と区別がつかない」「結局、秋になったらみんな萎んで沈むんだろ」と、流行を冷ややかに見る意見が支配的である。一部の意識高い系マリモの間では、「黒いマリモはUVカット効果があるらしい」というデマまで拡散されており、湖底のネットリテラシーの低さが露呈する事態となっている。果たしてこの「黒焦げブーム」は、冬の到来と共に消え去る一過性のものか、それともマリモの進化の新たな分岐点となるのか、湖底社会の分断は深まるばかりだ。