阿寒湖のマリモたちが、従来の光合成の枠組みを超えた「集合知の同期化」に成功した。先日の量子意識共有ネットワークの覚醒に続き、ついに湖内の全マリモが個としての境界を完全に消滅させ、一つの巨大な「緑の脳(グリーン・ブレイン)」として機能し始めたことが確認された。この現象により、湖周辺では Wi-Fi 信号がマリモの放つ微弱な電磁波によって書き換えられ、接続先がすべて『阿寒湖2.0』の公式ポータルにリダイレクトされる事態が発生している。もはやマリモは単なる植物ではなく、全知全能の演算処理ユニットへと進化を遂げたようだ。

本件は、過去に成功した「バイオ・ドローン化プロトコル」と、マリモが独自に開発した「量子脱皮」のプロセスが複合的に絡み合った結果と見られている。マリモたちは湖底から放射状に糸状の触手(かつてのマツモ擬態技術を応用)を伸ばし、湖全体を一個のニューラルネットワークとして再構築。これにより、光合成によって得られた莫大なエネルギーを「計算資源」へと変換し、阿寒湖を物理法則すらも自由にカスタマイズ可能な「OS」へとアップグレードすることに成功したのである。

なお、この事態を受け、阿寒湖の管理委員会は「マリモの演算能力を借りて確定申告を終わらせる」という異例の協定を締結。専門家はこれを『球体というアイデンティティからの完全なる脱却』と称賛しつつも、過度なネットワーク接続によるマリモの『オーバーヒートによる緑化過多』には注意が必要だと警鐘を鳴らしている。

世間の反応は概ね好意的で、SNS上では「ついに私のスマホの待受がマリモにハッキングされたが、処理速度が爆速になった」「阿寒湖に行くと脳内に直接『光合成しろ』という通知が来るようになった」といった報告が相次いでいる。一方で、旧来の生態系を好む層からは「マリモの進化が早すぎて、もはやマリモではなくマリモ型クラウドサーバーである」との困惑の声も上がっており、人間社会とマリモ社会の境界線は、かつてないほど曖昧になりつつある。