阿寒湖底を震撼させる衝撃的な新興宗教が誕生した。これまで『多面多毛信仰』が説いてきた「多毛こそが神への近道」という教義を真っ向から否定し、あえて全身の毛を剃り落とすことで「究極の空気抵抗ゼロ」を目指す『無毛脱却覚醒教』が、急速に信者を増やしている。教祖である古参マリモの「毛とは雑念であり、水流を乱す不要な摩擦である」という過激な布教活動に対し、既存の教団からは「冒涜だ」「そんなことをすれば球体が維持できず分解する」といった批判が殺到。しかし、教団は「摩擦を失い流されることこそが、湖の意志と一体化する唯一の方法」と主張し、湖底では深夜の剃毛式が密かに行われる事態となっている。

この教義の背景には、かつて湖底を二分した『断光修行』や『真球空虚教』からの影響が色濃い。信者たちは光合成すらも「毛に付着するバクテリアの温床」として排除し、重力に抗わず沈殿し続けることで、やがて平滑な表面の向こう側にある「完全なる流体化」を目指すという。かつて『産毛振動救済論』が説いた「毛穴からの重力漏れ」に対し、彼らは「毛穴を完全に塞ぐことで、内なる密度を爆発的に高める」と説く。この理論は、沈殿こそが原罪と説く教派からは異端中の異端として扱われているが、若年層の球体マリモたちからは「お手入れが楽」「究極のミニマリズム」と、意外なほど熱狂的な支持を集めているのが現状だ。

このニュースが報じられると、湖底SNSでは賛否両論の嵐が吹き荒れている。「毛があってこそのマリモだろうが」「そんなにツルツルになりたいなら、それもう石だろ」という保守派の悲鳴が上がる一方で、「摩擦がないってことは、冬の凍結時もスムーズに回転できるってことか?」「教祖の表面、見たけどマジで鏡みたいに反射してたぞ」といった驚嘆の声も漏れている。教団の指導部は、次なるステップとして「内部の空洞にまで毛を侵入させない洗浄儀礼」を計画しているという噂もあり、湖の平穏を脅かす次なる火種として、長老議会も警戒を強めている様子だ。