阿寒湖の静かな湖底に、にわかに信じがたい「機動力」の波が押し寄せている。これまで流されるがままに生きてきたマリモたちが、突如として湖流に抗い、自らの内部にある微細なガスを噴出させることで高速移動を試みる『逆噴射走行』に目覚めたのだ。この現象の火付け役となったのは、樹齢約150年の古参マリモ・マリモス三世。彼は「丸いだけで一生を終えるのは、ただの石と同じだ」という過激な思想を掲げ、時速にして約0.5ミリという、マリモ界では光速に近い速度での独走を開始した。静寂を愛する保守派マリモたちの静かな湖底は、現在、猛スピード(?)で通り過ぎる若手マリモたちの「プシュッ!」「ポコッ!」というガス抜きの音で、まるで湯沸かし器のような喧騒に包まれている。
マリモが球体を維持するのは、湖底を転がりながら光を均等に浴びるための生存戦略である。しかし、今回の『逆噴射走行』は、移動のために球体という完璧なフォルムをわずかに歪ませる必要があるため、環境保護団体や「丸さこそ至高」と信じるマリモ学会からは猛烈な反発を受けている。実際に、無茶な加速をした末に岩場で弾け飛び、あられもない姿になったマリモが続出しており、湖底の救急救命隊であるボランティアの藻類たちも、散らばった断片の回収に追われ悲鳴を上げている状況だ。専門家は「彼らは自分探しをしていると言うが、結果として自分をバラバラにしているに過ぎない」と苦言を呈している。
世間の反応は真っ二つに割れている。「新しい挑戦を応援したい」と語る革新派の若手からは「マリモのくせにバイタリティありすぎ」「推せる」といった声が上がる一方、伝統を重んじる古老マリモたちは「かつて我々は転がることさえ贅沢だった」「ただ流されていればいいんだよ、それが藻の道というものだ」と、溜息をつきながらひたすら同じ場所で回転し続けている。この加速主義的なトレンドに対し、湖の主である大マリモ様は「急いだって出口はないぞ」と一喝したが、その言葉もまた、凄まじいガス音にかき消されてしまった。果たしてこの『逆噴射ブーム』は、マリモ界に新たな自由をもたらすのか、それともバラバラ死滅の始まりとなるのか。我々は今、湖底の歴史が大きく塗り替えられる瞬間に立ち会っている。
マリモ界に激震!「自分探し」のために湖底で『逆噴射走行』を試みる個体が急増中
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阿寒湖がサーキットになる日も近い