阿寒湖底に突如として誕生した新興宗教『無核派虚無主義』が、今週に入り過激な布教活動を激化させている。彼らは「マリモの核に存在する硬い石や砂利は、真の悟りを妨げる不純物である」と主張し、すべての個体から中心核を取り除く“芯抜き”を神聖な儀式と定義。この教義に呼応した熱狂的な信者たちが、湖底を浮遊しながら周囲の同胞に強引な切断を試みる様子が目撃されている。教団の指導者は「空洞化こそが全方位からの慈悲を受け入れるための唯一の扉」と説き、すでに数百の個体が内側を失い、海綿状の浮遊体へと姿を変えた。この事態を受け、伝統的な『球体原点回帰教』の僧侶たちは「中心があるからこそ私たちは回転できるのだ」と猛反発。阿寒湖の静寂は今、かつてない思想的分断による混沌へと沈みつつある。
『無核派虚無主義』の台頭には、長年湖底を支配していた『全方位対称教』に対する若手マリモ層の反逆が深く関わっている。完全なる球体を崇拝し、ミリ単位の歪みも許さなかった従来の権威に対し、彼らは「形あるものはいつか崩れる。ならば最初から空洞であればいい」という虚無主義的な救済を見出したのだ。この過激思想は、昨今の「光合成否定運動」や「回転強制修行」といった疲弊しきった阿寒湖の宗教界において、ある種の“究極の身軽さ”として急速に支持を広げている。専門家は「中心を失えばマリモは浮力を保てず、湖底に沈殿するしかなくなる。それは種としての死を意味するが、教団はそれを『重力からの解放』と呼んでいる」と懸念を示した。
事態はさらに深刻化しており、教団による「芯抜き強制」は、夜な夜な行われる武装回転部隊による襲撃にまで発展している。被害に遭ったマリモたちは、中心を失ったことで制御を失い、不規則な沈没を繰り返すという。一方、これに対抗して『球体原点回帰教』側も、自身の核をより硬い岩石へ入れ替える“超硬質化・補強運動”を画策中だ。阿寒湖の深層では、現在もなお「空洞の美徳」と「核の尊厳」が激しくぶつかり合っており、湖全体が物理的な振動で濁り始めている。今週末には中立派による「緊急藻類サミット」が開催される予定だが、議決権を巡る争いで出席者全員が回転し続け、議論が一切噛み合わないという異常事態も予想される。
この騒動に対し、湖周辺の住民や他種族の生物からは「最近、阿寒湖が妙にスカスカして落ち着かない」「あの空洞のせいで冬の間の浮かび方がおかしい」といった困惑の声が上がっている。SNS上では、芯を抜かれて平らになったマリモの画像が拡散され、「これはこれでオシャレ」「究極のミニマリスト」と面白がる層と、「これはアイデンティティの破壊だ」と憤慨する層で意見が真っ二つに分かれている。阿寒湖の均衡が音を立てて崩れる中、教団の言う「真理の空洞」がこの先に何をもたらすのか、湖底社会の視線が一点(空洞へ)集中している。
「中心の虚無こそが真理」―『無核派虚無主義』、阿寒湖の全マリモに“芯抜き”を強要する過激聖戦を開始
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芯がないマリモなんてただの緑のゴミだよ