阿寒湖の静かな湖底に、にわかに信じがたい「食文化の侵食」というべき事態が発生している。ここ数日、本来ならば完璧な球体を維持することに命を懸けてきたはずのマリモたちが、突如として自身の形状を三角形に寄せようとする「おにぎり化現象」が相次いで報告されているのだ。中には、自身の周囲に海苔に見立てた黒い藻を無理やり巻きつけ、「具は梅干し派か昆布派か」を巡って大論争を繰り広げる過激派の若手集団まで出現し、湖底の生態系に混乱をもたらしている。

この奇妙なムーブメントは、先週開催された「湖底カルチャーフェスティバル」にて、ある古参マリモが「球体であることに疲れた。自分は米粒として生きたい」と衝撃的な声明を発表したことから始まった。これに同調した若手たちが、水流を巧みに利用して自らの体を削り、強引に角を作る「角出しダイエット」を敢行。専門家によれば、これは過度な球体プレッシャーからの逃避行動であり、アイデンティティの迷走であると分析されている。湖畔の管理事務所は、三角形のマリモを見つけても決して具を詰めようとしないよう、観光客に厳重な注意を呼びかけている。

そもそもマリモは光合成によって成長する植物であり、食事をする機能は存在しない。しかし、今回のおにぎり化騒動は、彼らが「人間界のコンビニ文化」を湖底の通信網(通称:藻ネット)を通じて学習してしまったことが原因と推測される。特に夜間の湖底に現れる微かな発光体が、深夜のコンビニの看板に見えてしまうという認知バイアスが、彼らの深層心理に深く刺さっているようだ。

この「おにぎりマリモ」の出現に対し、SNS上では「もはや球体という概念が古い」「三角形の方が水流抵抗が少なそう」と肯定する声がある一方で、「丸くないマリモはもはやただの雑草だ」と猛反発する伝統派も存在しており、湖底の民意は二分されている。中には、四角いサンドイッチ型への進化を提唱する過激派も現れており、マリモ界の食のアイデンティティを巡る混沌は、当分収まりそうにない。