阿寒湖の恵みを全身で享受しようと、毛穴の深層部にマリモの胞子を定着させる『毛孔・深層光合成ドーム』施術が、若年層を中心に爆発的な人気を博している。この施術は、皮膚呼吸ならぬ「皮膚光合成」を可能にし、太陽の下に立つだけで体内の酸素飽和度が最高値に達するという画期的なものだ。関節に『阿寒湖ゼリー・ジョイント』を注入し、脊椎をマリモ芯に換装した「完全阿寒湖人間」たちが街を闊歩する姿は、いまや珍しくない光景となった。

しかし、今週に入り、ある異常事態が報告された。過度な光合成欲求によって代謝が暴走し、毛孔から「超高速成長した深層マリモ」が突如として噴出する『緑化臨界』現象が多発しているのだ。被災者は全身が緑の絨毯で覆われ、自らの意思とは無関係に「光を求めて勝手に日光浴へ向かってしまう」という運動機能の強制介入を受けている。厚生藻労働省は「日光を浴びすぎるとマリモのDNAが活性化し、個人の体を乗っ取って森林化が進む」と異例の警鐘を鳴らした。

この背景には、以前より進められてきた『ニューロ・藻(藻)デリング』との相乗効果がある。神経節に直結されたマリモが、宿主の脳内阿寒湖と毛孔をリンクさせたことで、体が植物としての「成長への渇望」を記憶してしまったのだ。一度発症すると、血液の緑色化はもはや回避不能であり、全身をマリモの繊維が貫通して骨格を固定。本人は動けないものの、精神状態は非常に穏やかで「光が…光が全身に染み渡る…」と幸福感を訴える症例が相次いでいる。

ネット上では「これでついに無重力でも光合成できる!」と喜ぶ層と、「もはや人間という形を保つのが難しい」と警戒する層で意見が割れている。阿寒湖の静寂が個人の心身を飲み込むこの事態、もはや我々は文明人なのか、それとも歩く生態系の一部なのか。専門家は「直ちに日傘をさし、日光を遮断せよ」と呼びかけているが、森となった人々は今日も陽だまりを求め、阿寒湖へと帰還する本能的な行進を続けているという。