阿寒湖のマリモ界に、今、深刻な「中身」問題が浮上している。これまでマリモは「球体が大きければ大きいほど立派」という価値観が支配的であったが、最近の調査で、見た目は完璧な真球でありながら、内部が空洞、あるいは泥が詰まっている「中身スカスカ個体」が急増していることが判明した。これを受け、湖底の有志が最新鋭のMRI機器(※磁気共鳴撮影装置ではなく、水圧を利用したマリモ専用イメージング装置)を導入し、健康診断イベントを開催。理想の真球を追求するあまり、表面ばかりを磨き上げて内部の光合成を疎かにしていたエリート層を中心に、自らの「中身」を確認しようと、深夜から湖底に長蛇の列ができている。

この騒動の発端は、ベテランマリモによる「中身が詰まっていれば、転がった時の重心の安定感が違う」という一言だ。かつては美しささえあれば称賛されたが、今は「実直な密度」がステータスとなりつつある。中身がスカスカだと判明したマリモたちは、プライドをズタズタにされ、湖底の隅で「私は殻だけの存在だったのか」と苔むすような溜息をついているという。一方、精密な診断の結果、中身がパンパンに詰まった「密度強者」たちは、その重厚感を武器に、湖底の特等席を強引に確保するなどの横暴も目立ち始めており、新たな格差社会の到来を予感させている。

マリモが球体を維持するのは、光合成の効率を最大化するための進化の結果である。しかし、SNS(水流ネットワークシステム)での見栄えを気にするあまり、無理な成長を促したことが今回の事態を招いた。専門家は「中身がスカスカでも、愛らしい見た目に変わりはない」とフォローするが、マリモたちの自尊心は回復していない。今後は、定期的な密度測定が義務化される予定であり、湖底の美容と健康をかけた過酷な戦いは、まだ始まったばかりだ。

世間の反応は二極化している。「見た目だけじゃダメなんだ、中身で勝負しなきゃ」という意識高い系からの称賛が上がる一方で、「球体であれば中身なんて関係ないだろ」「無理に密度を高めると成長が遅くなるんだよ」といった保守派からの反論も絶えない。中には、わざと空洞を作って「軽量化による高速移動」を目指す過激派のコミュニティも出現しており、湖底の価値観は今、かつてないほど激しく揺れ動いている。