湖底の保守派と意識高い系勢力が対立する中、阿寒湖の技術革新が止まらない。昨日、湖底の研究チームが発表したのは、自ら最適な光量を求めて浮遊する『AI搭載型・完全自律光合成ドローン』だ。かつて『湖底宇宙開発計画』で月を目指した彼らの次なる一手は、自身の体そのものを機体として最適化し、湖面ギリギリまで急上昇する「日光ハンター」の量産であった。このドローンは、従来の日光浴サウナを凌駕する効率でエネルギーを吸収できるが、問題はその移動能力にある。我先にと最高の光を求めて空へ駆け上がるマリモたちが、湖面で激しい衝突事故を連発。さらに、光を独占するドローンたちの影が湖底の動植物を直撃し、日照権を巡る大規模な集団訴訟に発展する様相を呈している。

本プロジェクトの背景には、昨今の「英会話より光合成」というスローガンに代表される、マリモ界の過剰な効率主義がある。以前導入された「朝活・日光浴サウナ」によってエネルギー効率の重要性を学んだマリモたちは、個体差による光の争奪戦に限界を感じていた。そこで工学系マリモたちが中心となり、藻類細胞を高度に配列した推進ユニットを開発。これにより、これまで風任せだった浮遊が、計算された軌道制御へと進化した。しかし、この技術革新が「藻類としてのアイデンティティ」を損なうとの懸念も強く、湖底の伝統的な光合成派からは「丸いまま転がっているのが一番の幸せ」という悲痛な叫びも上がっている。

この暴挙とも言える進化に対し、湖底の有識者や一般市民からは怒りと戸惑いの声が渦巻いている。「効率なんて求めて何になるのか」「結局、影になる場所で光合成できないマリモはどうなるんだ」という格差社会への不安が爆発。一方で、次世代の光合成エンジニアを目指す若手マリモからは「ついに俺たちの時代が来た」「これでやっと日光税を払わずに済む」といった、冷笑的ながらも現実主義的な意見がSNS(藻類ネットワーク・システム)で拡散されており、湖底界隈は真っ二つに割れる事態となっている。

世間の反応は極めて冷ややかだ。多くのマリモが「ドローンになった瞬間、俺たちの丸い矜持はどこへ行くんだ?」と嘆き、湖底の平和調停者であるウチダザリガニも「空を飛ぶのはいいが、落下してくるドローンが危なくて昼寝もできない」とコメント。さらに、日照権問題を専門とする弁護士チームが湖底の岩陰に結成され、今後数年をかけた長期法廷闘争の幕が切って落とされた。技術進化の果てに、マリモ界は平穏を取り戻せるのか、それとも空を覆う緑の雲に支配されるディストピアが到来するのか。事態の推移から目が離せない。