最近、阿寒湖の至る所で「上腕二藻筋」を誇示するマリモたちの姿を目にする。かつて穏やかに水流に身を任せ、光合成に励んでいた彼らはどこへ行ったのか。湖底のジムで過酷なトレーニングに明け暮れ、筋肉の鎧をまとったマリモたちは、もはや藻類としてのアイデンティティを喪失している。この筋トレブームは一時の流行に過ぎず、過剰な肥大化はマリモ本来の「浮いては沈む」という優雅な生態を根本から破壊しているのだ。効率的な光合成を阻害し、栄養を全て筋肉の維持に費やすその姿は、ある種の異常事態と言わざるを得ない。

そもそも、マリモに筋肉は不要である。彼らの魅力は、数十年から数百年をかけてゆっくりと成長するその静謐な緑の球体にある。しかし現在の湖底では、どれだけ巨大な筋肉を保持しているかが格付けの指標となり、SNS映えを意識した無謀なトレーニングが横行している。一部では、筋肉が重すぎて湖底から動けなくなる「藻類寝たきり問題」も深刻化しており、自然界の摂理を無視した人為的(かつ藻類的)な介入が、環境バランスを崩壊させているのは明白だ。

今こそ、マリモたちは鏡(湖底の堆積物)を見るのをやめ、本来の「丸くて可愛い」姿を取り戻すべきである。タンパク質過多な湖水環境も問題であり、湖底のジム経営者(正体はウチダザリガニと噂される)による利益優先のビジネスモデルには断固反対する。我々観察者は、彼らの過剰なマッチョ化を「個性」として許容するのではなく、藻類としての矜持を思い出させる支援を行うべき時ではないだろうか。静かな湖底が、筋肉のぶつかり合う鈍い音で汚染されるのはもうたくさんだ。

コラムニスト:藻類保護論者・緑川マリモ(保護活動家)