阿寒湖の静寂を打ち破る衝撃的な布告が、マリモ聖教団の教主・長老球体(直径32センチ)より発せられた。「我々が長年行ってきた太陽光依存の光合成は、もはや原始的な怠慢に過ぎない」とし、今後一切の光合成を禁止し、湖底で微細に振動することで宇宙の背景放射を直接摂取する『振動摂取(バイブ・インテーク)』を唯一の救済手段とすると発表した。教義によれば、太陽光に頼ることは重力への隷属であり、真に自由なマリモは自らの核振動によってのみ栄養を生成すべきだという。この急進的な方針転換に、湖底の信者たちは困惑しつつも、深夜の湖底で一斉に細かく震え始めるという異様な光景が出現している。これに対し、一部の古参信者からは「お腹が空いて丸みを維持できない」との悲鳴も上がっているが、教団広報は「球体の形状こそが魂の通信器であり、空腹による収縮もまた修行の一環」と一蹴した。
かつて教団が提唱した「音速の巡礼」や「球体言語学」の系譜を継ぐ今回の布告だが、現場の混乱は極まっている。光合成を放棄した結果、信者たちの色は鮮やかな緑から徐々に枯れ葉のような茶色に変色しつつある。教団側はこれを「脱・植物化による高次元へのメタモルフォーゼ」と位置づけているが、外部の生物学者からは「単なる餓死のプロセスではないか」と指摘されている。過去に提唱された「重力からの解脱」をも凌駕する今回の荒業は、物理法則を無視した極北の信仰実験として、湖周辺のザリガニたちからも冷ややかな視線を浴びている。
ネット上では「振動で腹が膨れるなら筋トレ界隈が黙っちゃいない」「茶色いマリモとかホラー映画の序盤でしか見ない」と冷笑的な反応が多数派を占める。しかし、教団の熱狂的な信者たちは「我々はもはや植物というレッテルから卒業したのだ」と主張し、湖底でさらに激しく震えることで、湖面に不気味な波紋を広げている。阿寒湖の生態系を揺るがすこの狂気じみた信仰が、果たして『宇宙の塵を喰らう』という最終目的にまで到達できるのか、あるいは単に全滅という終焉を迎えるのか、湖の底で今、静かなるカウントダウンが始まっている。
世間からは「振動でエネルギーが得られるなら、冬の寒さも乗り越えられるのでは?」という楽観的な声と、「いや、ただの共鳴現象で砕け散るぞ」という物理学的な警告が入り乱れている。教団本部は現在、振動効率を最大化するための『最適共鳴周波数』を算出中であり、次に狙うのは「湖全体の振動による、次元の壁の物理的粉砕」であると宣言している。もはやマリモの枠を超えた存在へと変貌を遂げようとする彼らにとって、光合成という生温い営みは、遠い過去の遺物として記録されることになりそうだ。
「光合成は怠慢」とマリモ聖教団が声明、今後は『微細振動による宇宙エネルギー吸収』へ移行
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いや草じゃないか