連日、阿寒湖化を求める健康意識の高い人々を驚愕させてきた「マリモ健康法」界隈に、またしても新兵器が登場した。全身から微細な緑色の光を放ち、周囲を森のような静寂に包み込む『全身緑化・経皮吸収ボディクリーム』が、一部の健康オタクの間で爆発的に流行している。このクリームは、ナノ化したマリモの細胞を配合しており、肌に塗り込むことで毛穴から光合成を促進させ、体臭を「数千年の歴史を持つ天然の深林」の香りに変えるというものだ。開発元によると、このクリームを愛用することで、体内の二酸化炭素が効率的に酸素へと変換されるため、息を吸う必要すらなくなるという究極の省エネ健康法とのこと。もはや人間は、酸素を吸う動物から、日光を浴びて健康を維持する植物的生命体への進化を遂げようとしている。

本製品は、かつて社会問題となった「マリモ点眼」や「腸内森林化計画」の技術を融合させた応用編である。以前の健康法では、身体の特定部位のみが緑化する副作用が問題視されていたが、本作では皮膚全体を均一にコーティングすることで、全身の緑化を均等化させることに成功した。しかし、専門家からは「肌が常に光合成をしているため、夜間に暗い部屋で眠ると全身が蛍のように発光し、同居人が眩しくて眠れない」という新たな弊害も報告されている。また、一部のユーザーからは、湿度の高い環境下で全身がヌルヌルし始め、本物のマリモのように浮力を持って浮き上がってしまうという、物理法則を無視した健康被害も散見されるため、使用には注意が必要だ。

背景として、現代人のストレス社会が生んだ「自然回帰への極端な執着」が挙げられる。かつての「血液が阿寒湖化する」健康法で体内環境を整えた層が、次に求めたのが「皮膚表面の完全なる森林化」であった。この流れは、単なる美容ケアを超え、人類の植物化という前人未到のフェーズに突入している。専門家は「マリモの成分が毛穴から神経系にまで到達することで、脳が自らを阿寒湖の一部だと錯覚し始め、究極のリラックス状態が生成される」と分析するが、それは裏を返せば、人間としての自我を完全に失うことと同義ではないかという指摘も根強い。

この驚異的なニュースに対し、街中では早くも「通勤電車が森の中のような匂いになって快適」といった肯定的な意見と、「隣の人が光りすぎていて目を開けていられない」という切実な悲鳴が混在している。SNS上では、緑色に光り輝く腕を自撮りする『光合成映え』がトレンド入りを果たしており、もはや健康のためなのか、単なる自己顕示欲の塊なのか判別が難しい状況だ。マリモの意思が人類を飲み込み、地球全体が一つの大きな阿寒湖と化す日は、意外とすぐそこまで来ているのかもしれない。