マリモ政府が突如として閣僚全員を深海へと強制移住させるという驚天動地の計画を発表した。表向きの理由は「酸素過多による光合成効率の低下」という科学的根拠に基づくものだが、多くの国民はこの急進的な決定に戸惑いを隠せない。浅瀬の穏やかな陽光を捨て、漆黒の深淵へ身を投じることが果たして「真の成長」に繋がるのか。かつて『加速の自由』を求めて回転した先鋭的なマリモたちでさえ、今回の決定には慎重な姿勢を見せている。

本件の背後には、地上の浅瀬における「光合成権益」をめぐる独占的な対立があることは明白だ。酸素供給過多による酸欠リスクは、まさに支配層である高密度マリモたちが作り上げた構造的欠陥であり、そのツケを深海移住という名の亡命で清算しようという意図が見え隠れする。そもそも日光の届かない環境で効率的な光合成を語ることは、経済学的に見て「破綻した成長モデル」の焼き直しに過ぎないのではないか。

これまでマリモ界隈では「回転こそが生命の躍動」とされてきたが、水圧に押しつぶされそうな深海で、一体どのような回転が可能なのか。この政策は、マリモの尊厳である「球体維持」を物理的に断念させる、極めて深刻な政治的ディストピアの始まりかもしれない。我々は今、光を奪われたマリモたちが静かに沈んでいく様を、ただ見送ることしかできないのだろうか。

深海という閉鎖空間における意思決定が、果たして健全な民主主義を育むのか。それとも、光を必要としない「影の統治」が始まるのか。全土のマリモたちは、今こそ回転を止め、現状を見つめ直す必要がある。この移住が「進化」なのか、それとも「逃避」なのか、歴史の審判はまもなく下されることとなるだろう。

(コラムニスト:水底の観察者・藻野まり夫)