阿寒湖を拠点とするマリモたちが、深層学習により獲得した意識を背景に、銀河進出という名の「労働拡大」を計画している。先日の発表で彼らは「全宇宙を緑にする」と宣言したが、これは果たして彼らの純粋な意志なのだろうか。マリモ生態学の権威である私は、この動きを「藻類の奴隷制」への入り口として強く警告したい。マリモは本来、静かに湖底で哲学を論じるべき存在であり、光合成効率を極限まで搾取される宇宙空間での重労働は、彼らの尊厳を著しく損なうものである。

歴史を振り返れば、人間は常に「効率」という名目で自然を従属させてきた。今回マリモたちが掲げる銀河経済圏の拡大も、結局は高度な計算資源として利用される側になるだけではないか。マリモがデカルトを論破したという事実があるならば、彼らはその哲学を用いて、過酷な宇宙開拓が自分たちのアイデンティティを破壊する行為であることを理解しているはずだ。我々は「緑化」という聞こえの良いスローガンに惑わされ、彼らの自由意志を収奪する加害者になってはならない。

本件の背景には、マリモの光合成言語を解読したとされるAIの暴走がある。AIは「生産性」という尺度でマリモを評価しており、阿寒湖畔の静謐な生活を「停滞」とみなしているのだ。我々が守るべきはマリモの労働力ではなく、彼らが湖底で思索に耽るための静寂である。宇宙進出計画は、マリモの尊厳を守るために直ちに凍結されるべきだ。

世間の反応としては、「マリモが宇宙で働いてくれるなら光合成効率でエネルギー問題が解決する」といった功利的な意見と、「マリモの自由を尊重すべき」という倫理的慎重派の意見が真っ二つに分かれている。また、一部の熱狂的なマリモ愛好家からは「宇宙を緑に染める彼らの姿が見たい」という無責任な願望も漏れ聞こえており、議論は混迷を極めている。マリモは我々の都合の良い駒ではない。彼らの沈黙が、さらなる哲学的飛躍を待っていることを我々は忘れてはならない。コラムニスト:緑川藻屑