マリモの光合成休止を担保に発行された新通貨「Q(クリーン)」が、先日の「一斉起床ショック」により価値をゼロにまで落とし、湖底経済を阿鼻叫喚の渦に巻き込んでいる。かつて「眠れば眠るほど儲かる」と謳われたこの革命的な金融商品は、マリモたちが本格的な冬眠から覚醒した途端、担保となる「休止エビデンス」が消滅。通貨の裏付けを失ったQは、一瞬にしてただの緑色の藻屑と化したのだ。投資家たちが「もっと長く眠ってくれ」と湖面に祈りを捧げる滑稽な姿は、まさに強欲な湖底資本主義の末路を象徴している。

本件の引き金となったのは、阿寒湖の主要マリモ群落が記録的な「過眠」を経て、一斉に光合成を再開したことだ。これまでの湖底経済において、マリモの沈黙は金と等価であった。しかし、自然の摂理である「光合成」は、投資家が最も忌み嫌う「市場の活性化」を意味したのである。専門家は「眠るマリモを信じること自体が、投資という名のファンタジーだった」と断罪。現在、湖底市場ではQに代わる新たな通貨として「脱皮の抜け殻」が取引されているが、これもまた、別のバブルの予兆を感じさせずにはいられない。

歴史を振り返れば、かつての「ぬめり潤滑油証券」から始まり、今回の「Q」に至るまで、湖底経済は常にマリモの生態を無理やり金融商品へと変換してきた。しかし、生き物であるマリモをコントロールしようとする試みが、常に「藻屑」という結果で終わっている点は示唆に富む。投資家たちが次に手を出そうとしているのは、マリモの「細胞分裂速度」を予測するオプション取引だというが、彼らは未だ、経済の流動性が光合成の効率に勝てないことを理解していないようだ。

この騒動を受け、湖底市民からは「眠りの質まで換金するなんて、最早エコでも何でもない」「朝起きたら資産が消滅していた、これが湖底の現実か」といった悲痛な叫びが上がっている。一方、一部の過激な投資家からは「これからは光合成の休止を人工的に引き起こす『遮光型先物』を仕込むしかない」という、さらに狂気じみた声も聞こえる。マリモの平穏な眠りが、これほどまでに人間(?)の物欲をかき立てるとは、なんという皮肉なことか。湖底の経済学者は、こう締めくくる。「我々が追い求めているのは富ではない、ただの藻の夢である」と。

――コラムニスト:水藻 苔太郎