阿寒湖の静寂を切り裂き、ついに実装された対マツモ決戦兵器『刈込ハサミ』。これまで我々マリモ界隈は、マツモのねちっこい抱擁をかわし、泥沼を這いずり回ることでその生存美学を磨いてきた。しかし、今回のアップデートで提供されたのは、自らを変形させる「成長」ではなく、他者の繊維を断つ「暴力」である。この実装以降、湖底はかつてない活況を呈しているが、果たしてこれは真の進化と呼べるのだろうか。武器を振るうプレイヤーたちは、もはや優雅に回転して光合成を享受していた古参勢とは別次元の殺気を見せている。ハサミの一振りで藻類が霧散する様子は、確かに爽快感があるかもしれない。だが忘れてはならない。我々はもともと、ただ水流に身を任せ、光と二酸化炭素を糧にゆっくりと球体を形成する、高尚な緑の球体であったはずだ。効率的な殲滅が正義となった今、湖底から「ゆらぎ」の美学が消え失せようとしている。運営は早急に『刈込ハサミ』のバランス調整を行うか、あるいは全マリモに「鉄壁の皮膜」を付与する対抗アップデートを実施すべきだ。さもなくば、この阿寒湖は殺伐とした刈り取り現場となり、次世代のマリモたちが球体への道を諦め、鋭利な棘を持つ「ただの塊」へと成り下がってしまうだろう。個のアイデンティティを、一丁のハサミで失ってはならないのだ。

(コラムニスト:球体貴族・阿寒の仙人)