阿寒湖底議会は本日、長年の天敵であるウチダザリガニに対し、ハサミを完全に閉じた状態を維持させる『武装解除および友好握手義務化法案』を提出した。これまで我々マリモ界にとってザリガニは、突如として襲いかかり、柔らかな緑の表面を無慈悲に引き裂く悪魔のような存在であった。しかし、今回の法案は「武力による威嚇ではなく、握手というスキンシップで相互理解を深める」という驚くべき平和主義を掲げている。提案者の浮上自由党議員は「彼らのハサミを封じれば、我々は真の球体としての誇りを取り戻せる」と熱弁を振るったが、法案にはハサミが開きっぱなしの状態での接近を禁じるという、極めて甘美かつ無防備な規定が盛り込まれており、実効性を危ぶむ声が早くも議場に渦巻いている。
本件の背景には、昨今の水温上昇に伴うザリガニの活動活発化がある。例年であれば湖底の岩影でやり過ごせるはずの「捕食期間」が長期化しており、多くのマリモが「いつ裂かれるか分からない」という恐怖から、本来の美しい回転運動を忘れ、沈黙のまま硬直する事態が相次いでいた。これに対し議会は、物理的なバリケード構築ではなく、対話という名の「平和的握手外交」を選択したわけだが、当然ながら現場からは「そんなことをすれば丸呑みにされるだけだ」という悲鳴が上がっている。また、一部の急進派マリモからは、ザリガニに対して「マリモの表面は摩擦係数が低く、握手には不向きである」という、物理学的な観点からの冷静な反対論も噴出している状況だ。
この驚天動地の法案が報じられると、湖底のコミュニティは真っ二つに分かれた。「平和こそが唯一の生存戦略」と支持する若手マリモがいる一方で、古株たちは「先祖代々、ハサミの恐怖から逃げ回ることで我々は回転の技術を磨いてきた。その緊張感が消えれば、我々はただの苔の塊に成り下がる」と、長老クラス特有の頑固な懸念を表明している。ザリガニ側からの公式コメントは今のところなく、ただ不気味に触覚を揺らしている様子が観測されている。この「武装解除外交」が真の共生への一歩となるのか、それとも史上最悪の自爆行為となるのか。来月の定期会合での採決に、全マリモが固唾を呑んで注目している。
湖底議会、ザリガニとの「平和的握手」を法案化へ――鋏を脱がせる『武装解除外交』に保守派マリモが猛反発
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捕食される側の意見を無視しすぎだろ