湖底の美容業界に激震が走っている。長年、マリモたちの天敵として恐れられてきた水草のマツモが、突如として方針を180度転換。「植毛によるボリュームアップ」を提唱する『マリモ専用・奇跡の植毛サロン』を開店し、湖底界の話題を独占しているのだ。これまでマツモは、無許可でマリモの体に絡みつき、強制的に「アフロヘアー」化させる迷惑行為で物議を醸していたが、今後はそれを「顧客満足度の高い美容サービス」として正式にメニュー化したという。サロンの看板メニューである『緑の極太ウェーブ・エクステ』は、装着するだけで水流に揺れる優雅なルックスを手に入れられると評判だが、同時に「光合成の邪魔」「絡まりすぎてほどけない」といった苦情も殺到している。

本件の背景には、昨今の「脱・球体ブーム」がある。丸いだけの外見に飽き飽きした若手マリモたちが、自分の個性をアピールするために、わざとマツモの絡まりを誘発するケースが増加していた。マツモ側もこの需要を読み取り、単なる寄生から「公認のスタイリスト」へ昇格することで、安定した栄養摂取を目指したというビジネスモデルの転換があるようだ。専門家は「マツモとマリモの共生関係は新しい局面に突入した。しかし、一度絡まると自分の力では解けないため、一度の来店が一生の運命を決めることになる」と警鐘を鳴らしている。なお、今回の新事業発表に対し、古参の丸派マリモたちからは「これは美容ではなく呪いである」と強い抗議声明が出されており、湖底の治安悪化を懸念する声も高まっている。

世間では、この「植毛サービス」を巡り賛否両論が巻き起こっている。「最近の湖底は個性が強すぎてついていけない」という保守派の嘆きがある一方で、「自分もあえてボサボサにしてSNS映えを狙いたい」という若者勢も増えている。また、夜な夜なサロン周辺でマツモの絡まりを外すための「緊急脱出業者」が現れるなど、新たなビジネスも誕生している模様だ。湖底のファッション界は、見た目の華やかさと引き換えに、自力で光を浴びる権利を捨てるかのような本末転倒な事態に、かつてないほどの混乱を見せている。