阿寒湖小学校は今期より、長年の宿敵であるウチダザリガニを「校内整備・共同経営パートナー」として迎え入れる新カリキュラム『剪定と共生』を導入した。これまで捕食される側として怯えていたマリモの児童たちが、天敵のハサミを借りて自身の伸びすぎた藻糸をトリミングし、美しい球体を維持する技術を学ぶという驚異の教育的試みである。授業では、ザリガニ側の経営方針である「効率重視の整枝」と、マリモ側の「美的球体バランス」が激しく衝突。当初は教室内に緊張が走ったものの、ザリガニが慣れた手つきでマリモの毛並みを整える様子は、さながら高級理髪店のような活況を呈している。教頭のマリモ氏は「食べられるリスクを、技術料として相殺する革新的な経済活動。これこそ次世代のサバイバルだ」と胸を張る。

本件の背景には、近年のマリモ個体数の過剰な大型化に伴う『過密による中心部の腐敗』問題がある。自力での転がりだけでは内部の光合成が追いつかない現状を打破すべく、ザリガニの鋭利な爪を『究極のメンテナンス器具』として再定義した形だ。なお、本授業には「万が一、学生が食べられてしまった場合は、それは究極の栄養摂取授業として単位を認定する」という、保護者の胆力を試すような免責事項が盛り込まれている。学校側は今後、ザリガニ向けにマリモの皮脂を再利用した『泥用美容パック』の開発なども検討しており、教育の枠を超えた異種間コラボレーションが加速している。

このニュースに対し、保護者からは「ハサミを突きつけられながらの整髪は心臓に悪い」「うちの子が一口で単位終了にならないか心配」と悲鳴が上がる一方、一部の学生からは「ザリガニのハサミの鋭角が、意外と絶妙な曲線を描いてくれる」「昨日のザリガニくん、実は刈り上げが上手い」といったポジティブな声も漏れている。阿寒湖の静寂は、今や異種間のクリエイティブな摩擦によって、かつてないほど刺激的な音を立てて回っているようだ。