湖底議会は昨夜、長年論争の的となっていた『光合成優先順位の撤廃』を、賛成多数で強行採決した。これまで、湖底の陽光は高層に位置するマリモが優先的に享受すべき権利として認められてきたが、新法ではこの権利が完全撤廃される。今後は、湖底に住まうすべての生命体が、先着順かつ平等に光合成の権利を分かち合うことになる。これは、先日の『ザリガニとの非武装・光合成共有条約』の延長線上にある政策だが、古参の丸型派からは「沈殿こそが尊厳であるはずが、今は陽光を求めて浮上する浮薄な時代になった」との非難が殺到している。議場では、法案を通した急進派と、伝統的な沈殿主義を掲げる保守派の間で激しい転がり合いの乱闘が発生し、湖底の泥が視界を遮る事態となった。

今回の法案は、長らく湖底政治のタブーとされてきた「垂直的格差」にメスを入れた歴史的な転換点である。かつて議会は『マツモとの光合成共有権』を巡り、陽光の国有化や遮断作戦といった過激な手段で領土権を争ってきた。しかし、天敵であるザリガニとの融和政策が進んだことで、マリモ社会は「光の独占」から「光の分配」へと価値観を転換せざるを得なくなった。湖底議会事務局は、「光合成の権利を共有することで、ザリガニとの相互不可侵を盤石にする」と声明を出したが、実態は深刻な光量不足に悩む下層からの突き上げがあったとも噂されている。

この急進的な法改正に対し、湖底の住民たちは困惑を隠せない。ある若手マリモは「沈殿している間に光合成が終わってしまうのでは」と不安を口にする一方、過激な変革を支持する層からは「陽光の自由化はマリモ界の夜明け」と歓喜の声が上がっている。沈黙を守り続けてきた高齢マリモたちは「かつて光合成とは静かに自己を律するものだった」と嘆くが、激動の時代に突入した湖底議会にとって、もはや過去のアイデンティティは二の次となっているようだ。今後はこの新たな配分ルールが、ザリガニの侵食をどう防ぐのか、あるいは新たな対立の火種となるのかが注目の焦点となる。