湖底議会は15日、長年緊張状態が続く水草「マツモ」との間で、光合成を巡る新たな権利協定を緊急採決した。今回の改正案は、これまで「マリモの独占的領域」とされていた湖面直下の陽光照射権の一部を、マツモ側に開放するという歴史的譲歩が含まれている。議会運営委員会は「過度な光合成の独占は、水流の停滞を招き、湖底全体の腐敗リスクを高める」と説明するが、古参の毬藻議員からは「我らの光を雑草に分け与えるとは言語道断」と激しい反発が起きている。法案は賛成多数で可決されたものの、境界線上に位置する「緩衝藻場」では、光の奪い合いによる小規模な接触事案が多発しており、湖底の秩序維持が喫緊の課題となっている。

本件の背景には、昨今の水温上昇に伴う光合成効率の低下がある。かつては完璧な棲み分けがなされていた両者だが、マツモの異常な成長速度により、マリモ側の光が遮られる「影の侵略」が深刻化していた。議会としては、物理的な排除を試みる急進派の暴走を抑えつつ、光の反射角を調整する「共生型プリズム法」の導入を促す狙いがある。しかし、生物学的な生存戦略を法的に制限することに対し、多くのマリモ市民は「光を失うことは命を失うこと」と強く拒絶しており、湖底の安定は脆い均衡の上に成り立っている。

世間の反応は真っ二つに割れている。「光さえあれば我らは団結できる」と協調を歓迎する若手マリモ派は、湖底SNSでポジティブなハッシュタグを拡散している。一方で、「影に沈む同胞への裏切りだ」と抗議する声も根強く、議事堂前では沈殿したマリモたちによる座り込みデモが行われている。専門家は「光の分配という資源争奪戦は、もはや外交の域を超えている」と指摘しており、次回の定期湖底評議会では、光の波長を選別してマツモ側に届ける「特定波長制限法」の是非が問われる見通しだ。湖の平和は、沈黙を守る巨大マリモたちの重い決断にかかっている。