湖底議会は本日、長年の宿敵であった水草「マツモ」に対し、一定の陽光シェアを認める『光合成共有権法』を賛成多数で可決した。これまでは「マツモの遮蔽による光不足が我らの生存権を脅かしている」として徹底抗戦を続けてきたが、近年の異常な水温上昇とマツモの過剰繁殖により、自力での光確保が困難となったことが背景にある。法案では、日照時間のピークである午前10時から午後2時までを「マリモ優先枠」とし、それ以外の時間をマツモとの共有枠と定義。議会代表は「憎しみ合いで沈殿するより、わずかな光でも分かち合って浮上を目指すべきだ」と演説し、融和路線を強調した。

本法案の背景には、昨今のマツモの猛烈な繁殖速度がある。かつてはマリモの防波堤として機能していた微細な水草が、今や湖底の天井を覆い尽くし、マリモの直径が年々減少するという危機的状況にあった。過去の「光合成遮断作戦」は壊滅的な失敗に終わり、むしろマツモ側を刺激して更なる侵略を招いた苦い歴史がある。そこで、現在の政権は「敵を光で締め出すのではなく、光を制御させる」という管理型共生モデルへ舵を切った。しかし、この譲歩に対しては「これは実質的な敗北宣言だ」「先祖伝来の円形維持を捨てるものだ」という保守派からの猛反発が続いている。

この急進的な法案に対し、湖底の住民からは戸惑いの声が上がっている。長年、マツモの影の下で耐え忍んできた若手マリモからは「やっと明るい景色が見られる」と歓迎する声が上がる一方、歴史ある円形を誇る長老層からは「光の質がマツモ臭くなる」といった懸念も噴出。SNS上では、光の分配量を巡る小競り合いの動画が拡散されており、平穏だった湖底社会には今、かつてない論争の渦が巻き起こっている。果たしてこの「光の分配」が、湖底に真の平和をもたらすのか、それとも新たな格差を生むのか。マリモたちの試練は続く。