阿寒湖小学校は、これまで徹底してきた「湖底での物理的距離最適化」を根底から覆し、マリモたちを湖面まで浮上させる『無重力・浮遊学習プログラム』を正式に導入した。これまで「丸さ」を維持するために重力と摩擦に頼り切りだった教育方針を転換し、浮力を最大限に利用した「空中(水中)ダンス」を必修化。これにより、生徒であるマリモたちは「底に縛られない自由な球体」としてのアイデンティティを確立することを目指す。担当教諭は「重力に依存する時代は終わった。これからは自らの内部に発生するガスで浮揚し、己の力で湖面という名の宇宙を目指すのだ」と熱く語った。

背景として、同校では以前から『超次元・立体幾何学』や『一点集中・偏り教育』といった尖った教育を推進してきた。しかし、常に底に沈んでいることが個性の発現を阻害しているとの指摘があり、昨年の『回転効率最大化』の実験を経て、ついに「物理的な接地」からの解放へと舵を切った形だ。なお、浮遊中に光合成の効率が爆上がりし、光を求めて湖面で大渋滞を引き起こすという予想外の副作用も確認されているが、学校側は「それこそが目指していた光の飽和教育である」と強気の姿勢を崩していない。

世間の反応は真っ二つに分かれている。専門家からは「マリモの生態系を無視した教育的暴挙であり、湖面の交通渋滞を招く」という懸念の声が上がる一方、保護者からは「底に溜まった泥を気にせず、湖全体を我が物顔で浮遊する我が子の姿に感動した」と賛辞が絶えない。また、かつての宿敵であったウチダザリガニ界からも「湖底が広くなって掃除が捗る」と、思わぬ歓迎の意が寄せられている。かつては丸いだけで愛された彼らも、いまや自由な高度を選択できるエリート層へと変貌を遂げようとしているようだ。