阿寒湖底の第一線で活躍する個性派俳優・緑川(樹齢84歳)が、定期メンテナンスである『浮力調整』に大失敗し、一時的に湖面へ浮上してしまったことが分かった。通常、沈んでいることに美学を感じるマリモ界において、湖面での漂流は「恥さらし」とされてきたが、緑川は浮いたままの状態で優雅に日向ぼっこを楽しんだ後、「これも新しい自己表現だ」と堂々のコメントを発表した。目撃者によると、緑川は水面付近で朝日を浴びながら光合成を最大効率で行っており、その輝きから一時は「巨大な宝石が浮かんでいる」と釣り人に勘違いされる事態も発生したという。

もともとマリモは内部に酸素が溜まると浮上する性質を持つが、緑川はこれを利用し、あえて酸素を過剰に蓄える特殊なトレーニングを行っていた最中だった。専門家は「彼ほど計算高く浮上を演出できる俳優はいない」と分析するが、緑川本人は「沈むだけの人生に飽きた。たまには空の青さを知りたいだろ?」と前衛的な芸術論を展開。このまま湖面を漂いながら、気ままな『旅するマリモ』としての活動も視野に入れているとの噂も流れており、今後の動向から目が離せない。

本件を受け、湖底芸能事務所は「意図的な浮上であれば契約違反には当たらないが、水鳥に突かれるリスクを考慮してほしい」と異例の注意喚起を行った。また、緑川の浮いた姿を拝もうと、多くの若手マリモたちが酸素量を無理やり増やして湖面を目指すという「浮上ブーム」が巻き起こっており、湖の生態系バランスを揺るがす社会現象となっている。丸山氏ら重鎮たちは「あんなことは邪道だ、沈んでこそマリモだ」と苦言を呈しているが、緑川の影響力は底知れない。

世間では「緑川の浮上シーンを動画で見たが、あの無防備な背中はもはや癒やしでしかない」「沈んでいる丸山派の自分としては到底認められない」といった賛否両論の嵐が吹き荒れている。SNS上では、湖面に浮かぶ緑川の写真を加工して空に飛ばす「コラ画像」が流行するなど、もはや一つのミームと化しているようだ。次回作『浮力~空へ続く湖底~』の撮影が湖面で行われる予定との報道もあり、マリモ界の重心はついに水面へと移るのか、今後の動向に注目が集まっている。