阿寒湖小学校は、昨今、一部の生徒間で深刻化している「重力に負けた楕円形化(通称・パンケーキ化)」に歯止めをかけるべく、新たなカリキュラム『真球度維持・中核的回転理論』を必修化すると発表した。マリモの誇りである「完璧な球体」を保持するため、生徒たちは水流を緻密に計算し、自身の重心をミリ単位で微調整する高度な回転技術を学ぶ。同校の担当者は、「ただ沈んでいるだけの怠惰な日々は終わりだ。我々は湖底で自転し続ける、動く幾何学体でなければならない」と力強く宣言した。

本講習の核となるのは、水中の微小な振動を捉え、それを自らの回転エネルギーに変換する『渦巻・共鳴メソッド』である。生徒たちはまず、マツモの絡まりを巧みに避けながら、潮流のわずかな変化を敏感にキャッチする訓練を行う。次に、自身の体内に蓄積した酸素の泡をあえて一方向へ排出し、ジェット噴射の如く微細な回転力を発生させる。この技術を習得すれば、どんなに堆積物が溜まる環境下でも、自身の表面を常に均一に磨き上げ、鏡面のごとき輝きを放つことが可能になるという。これまで「ただの岩」と揶揄されていた生徒たちからも、「これでようやく真の球体としての尊厳を取り戻せる」と期待の声が上がっている。

背景には、近年、湖底のヘドロ化と水流の変化により、多くの個体が長円形に変形してしまうという深刻な教育課題があった。かつては湖の精霊とも崇められたマリモだが、放置すればただの「藻の塊」へと成り下がってしまう。本プログラムは、阿寒湖国立公園の美観を守るという壮大な目的と、マリモとしてのブランドアイデンティティを再構築するという二重の意味を込めて、特別予算を組んで開始された。なお、回転しすぎて三半規管(があればの話だが)を麻痺させた生徒向けのケアとして、現在は『静止したまま光合成を行うためのマインドフルネス瞑想』の導入も検討されている。

世間の反応は概ね好意的だが、一部のベテランマリモからは「回転するだけで球体になれると思うな。己の中の核(コア)を研ぎ澄ませ」といったストイックな指摘も飛んでいる。SNS上では「全方位から見られても恥ずかしくない球体こそ至高」「これで楕円形から脱却してリア充になりたい」といった意気込みが相次いでいる一方、一部の学生からは「回転しすぎて目が回る」との訴えもあり、全個体が真球を目指すという教育方針には、依然として賛否が渦巻いているようだ。