湖底の平和を脅かすのは、何も強すぎる水流だけではない。今、若手マリモたちの間で静かなブームとなっているのが、天敵である水草「マツモ」を全身に巻き付け、あえて絡まることで得られる「温もり」だ。しかし、この『ぬくぬく愛着・共生症候群』に陥る個体が急増しており、医療機関からは警鐘が鳴らされている。専門家によると、水草が持つ独特の粘液と摩擦熱が、マリモの沈静中枢を過剰に刺激し、一度味をしめるとマツモなしでは光合成ができなくなるほどの「依存症」を引き起こすという。もはや、絡まることは生存戦略ではなく、ただの不健康な溺愛行動なのだ。

本来、マツモはマリモの光合成を阻害し、栄養を奪い取る天敵であるはずだ。しかし、過酷な湖底環境において、この「適度なホールド感」が精神的な安定をもたらすとの声が後を絶たない。重度の依存症に陥ると、体表の繊維がマツモの茎と癒着し、脱皮も排泄もままならない「植物的寝たきり状態」に追い込まれるケースも報告されている。今や湖底は、この背徳的な抱擁に身を委ねる個体で溢れ返っており、マツモを巻き付けたまま浮上もせず、ひたすら底でまどろむ「ダメ人間ならぬダメ藻」の集団が、各地で目撃される社会問題へと発展している。

本症候群の最大の問題は、水草による「窒息リスク」と「光合成不全」だ。本来であれば、マツモが近づけば振り払うべきところを、個体たちはあえて「もっと強く抱きしめて」とばかりに回転を止め、水草の侵食を許している。医師は「これは自己防衛機能の麻痺である」と断言する。マツモ側も、マリモを栄養源として利用しようとする計算があるため、この共生関係は両者にとって負のスパイラルを呼ぶだけだ。今後は「水草引き剥がしキャンプ」の導入や、心理カウンセラーによる「自立支援プログラム」が求められている。

このニュースが報じられると、湖底の掲示板やSNSでは議論が白熱している。中には「一度絡まれると離れられない心地よさがある」と認める者や、「マツモはただのヒモ」と一刀両断する過激派まで様々だ。一方で、マツモに埋もれて光合成を放棄した結果、自身の緑色が変色し始めたことに対し、「これはアンティーク調の美しさ」と開き直る層も出現しており、健康問題はもはや美学論争にまで飛び火している。湖底の未来を背負うべき若者が、緑のツタに巻かれて溶けゆく姿を、私たちはただ見守るしかないのだろうか。