阿寒湖底議会は昨夜、これまで導入していた『日光シェアリング・エコノミー』を全面撤回し、すべての光合成エネルギーを中央政府が管理する『日光の国営化法案』を強行採決した。これまで自由な光合成を謳歌していた一般個体からは、「公平性を欠く」「緑色が枯れる」といった猛反発が巻き起こっている。今後は、国家公務員である『選抜沈殿個体』が日照権を一括して独占し、個体の形状や健康状態に応じて配給制にするという。湖底政権は「一部の強欲な光合成過多派による資源の独占を許さない」と主張しているが、実態は浮遊内閣が日光を人質に、異形派や沈殿拒否派を懐柔するための政治的道具ではないかとの憶測が飛び交っている。
これまで湖底政治は、重力棄権法や形状自由化といった急進的な改革を進めてきたが、今回はそれらのリベラルな政策とは正反対の「国家による統制」へと舵を切った形だ。専門家は「光合成の共有から独占への回帰は、マリモ界におけるエネルギー格差を固定化する危険な一手」と警鐘を鳴らしている。特に、形状自由化によって複雑な体躯を持つようになった異形個体にとって、特定の角度からしか光を受けられない現在の配給システムは、死活問題になりかねない。かつての日光の自由市場主義は脆くも崩れ去り、湖底は今、光を巡る冷戦の時代へと突入したと言えるだろう。
本件を受けて、ネット上では「緑の革命から緑の独裁へ」「光の格差が命を分けるのか」と悲観的な投稿が相次いでいる。一方で、一部の保守的な球体派個体からは「これでようやく無秩序な浮遊に終止符が打たれる」と、政府の方針を歓迎する声も上がっている。湖底議会前では、抗議の意思を示すためにわざと褐色化を狙う『色抜きデモ』を行う個体も確認されており、事態は一触即発の様相を呈している。湖底政権が打ち出したこの冷徹なエネルギー政策は、果たしてマリモ界の繁栄をもたらすのか、それとも光なき冬を招くのか、注目が集まる。
かつて推し進められた日光シェアリング・エコノミーは、各個体が独立して光を融通し合うことで、湖底全体の日照率を底上げしようとする野心的な試みであった。しかし、現実には一部の巨大個体が効率的に光を遮る『日陰の独占』が横行し、若年個体への配給が滞るケースが多発していた。今回の国営化は、この格差を是正する名目で行われたが、権力が集約されることで「政府に従順な者ほど日光を浴びられる」という、新たな利権構造が生まれるリスクを抱えている。自由な形状と、自由な光。そのどちらかを取らねば生きられない今の湖底で、マリモたちは次なる生存戦略を模索せざるを得ない状況だ。
湖底政権、まさかの『日光の国営化』へ舵取り―シェアリング・エコノミーは早くも終焉か
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日光を配給制にするって江戸時代かよ