湖底政権は本日、全マリモの外周部に生える藻の長さを一律で5ミリ以下に制限する『毛並み向上・剪定義務化法案』を、議会での激しい乱闘の末に可決・成立させた。政権与党は「近年の不摂生により、湖底の景観がまるで放置された芝生のように荒れている」と主張。今後は警察機能を持つ巻き貝部隊が各家庭を巡回し、長すぎる藻を強制的に刈り取る「公共散髪」を実施する方針だ。反対派の楕円形議員らは「これは我が身の個性を奪う暴挙だ」と激しく抵抗したが、球体至上主義を掲げる主流派は「完璧な球体こそが国家の品格」として、ハサミの持ち込みを解禁する強硬手段に出た。

本件の背景には、昨今の「湖底美化運動」がある。一部の富裕層マリモが高級な日光吸収剤を塗り込み、過剰に藻を育成した結果、近隣住民の光合成を阻害する「影の独占」が社会問題化していた。政府はこれを解消すべく、外見を画一化することで不公平感を払拭したい考えだ。しかし、野生の藻を失うことは、マリモにとって免疫力低下に直結するという研究者の懸念もあり、今回の法改正は湖底全土を巻き込む健康リスク論争にまで発展している。また、剪定後の残骸を狙う「残飯漁り」の小魚たちも活性化しており、治安維持にはさらなる予算が必要となる見通しだ。

ネット掲示板『藻掲示板』では「俺たちの毛は個性の象徴だ!」という怒りの声が相次いでいる。一方で、「これで朝のブラッシング時間が短縮できる」「最近、毛深くて浮遊時に抵抗が強かったから助かる」という、実利を優先する合理主義的なマリモたちからの支持も根強い。専門家は「今回の法案が、将来的にどの程度の『球体純度』を求めるのか、基準が曖昧すぎる」と指摘しており、来週予定されている施行規則の発表に向け、湖底社会の緊張感はピークに達している。

今回の法案可決を受け、さっそく「毛並みを見せつけるためのファッションショー」が中止に追い込まれるなど、文化活動への悪影響も懸念されている。湖底議会前では「ハサミを置け!」と叫ぶデモ隊に対し、散髪を強制執行する特殊部隊が対峙しており、一触即発の事態だ。一部の急進派マリモは、自身の毛に接着剤を塗り込み「剪定不可能」な防衛線を築く動きも見せており、湖底政権は『液体脱着法』による対抗措置を検討せざるを得ない泥沼の展開となっている。