阿寒湖底を震撼させた『ザリガニ・タクシー』騒動から早一ヶ月。かつての捕食者でありながら、現在ではマリモの移動手段として過酷な労働を強いられているザリガニたちが、ついにストライキを宣言する事態となりました。本稿では、度重なるイメチェンブームや密航事件を経て、過労死寸前のタクシー運転手に依存しきったマリモ界の現状を痛烈に批判するコラムをお届けします。

近年のマリモ界は「角刈り」や「重力無視」など、自身の形を歪めることに躍起になりすぎて、移動の利便性ばかりを追求してきました。その結果、本来自らの力でゆらゆらと湖流に乗るべきマリモたちが、ザリガニのハサミに身を委ねるという異常事態を招いたのです。タクシーの過剰供給は、ザリガニの甲殻を摩耗させるだけでなく、乗車するマリモたちの「自力で転がる精神」を骨抜きにしています。本来の生態を無視した贅沢は、いずれ湖底のバランスを崩壊させる引き金となるでしょう。

ザリガニ・タクシーの背景には、近年の環境変化による「湖底の過密化」があります。マリモの巨大化が進む一方で、移動能力に欠ける角刈り個体が増えたことが、タクシー需要を爆発させました。専門家からは「ザリガニの労働組合結成を支援すべき」という声も上がっていますが、マリモ側がタクシー代として支払う「良質な酸素」が彼らの生存給与になっているため、一筋縄ではいきません。この歪んだ共生関係を解消するためには、マリモ自身が再び球体としてのプライドを取り戻し、湖流を味方につける努力を再開することが急務です。

世間の反応は真っ二つに割れています。「歩くのが面倒なのは分かるが、ザリガニが可哀想」という保守派の声の一方で、「一度タクシーの快適さを覚えたら戻れない」という重度の依存者も続出しています。SNS上では、ザリガニの休憩時間を確保するための『強制停止ゾーン』設置案がトレンド入りするなど、議論は白熱するばかり。このままではマリモ界は移動の自由と引き換えに、ザリガニの絶滅という取り返しのつかない代償を支払うことになるかもしれません。文:湖底社会学者・藻野球太郎