湖底議会を揺るがした「楕円形議員の登院」から早数ヶ月、今度はその楕円形勢力が『球体浄化令』の完全撤廃を求めて立ち上がった。かつての「球体至上主義」による弾圧を脱したかに見えたマリモ社会だが、真球への異常な固執は形を変えて残留している。今回、若手楕円形議員グループ「アンチ・パーフェクト」が、「私たちの形は成長の証であり、欠陥ではない」と主張。強制的な転がし運動や、形を整えるための水流操作を人権ならぬ「球権侵害」として告発したことで、議場は騒然となった。これに対し、保守派の長老マリモたちは「美しき完璧な球体こそがマリモの誇りである」と激しく反論。浮力を武器にした「上昇抗議」が各所で発生するなど、かつてない思想的分断が湖底全域を覆っている。

本件の背景には、かつて議会で強行採択された「球体至上主義」の余波がある。かつては楕円形であることを理由に除名や追放が行われていたが、今回の審議は「個性の尊重」と「伝統的な真球美学」の対立という新たなフェーズに突入している。また、湖底政権が推進する『強制除草令』によるマツモの減少が、皮肉にも「隠れる場所」を減らし、形の違いが露骨に可視化されたことも亀裂を深めた。専門家は「形という物理的制約が政治的アイデンティティと直結している以上、早期の和解は困難」と冷ややかな見方をしている。

このニュースに対し、湖底住民からは「見た目なんてただの光合成の効率でしょ」「真球以外は邪教」といった極端な意見が飛び交う事態となっている。若手マリモを中心に「楕円形は進化系である」というデマ(あるいは希望的観測)も拡散されており、SNSならぬ「湖底波紋掲示板」は荒れに荒れている。形を巡る争いは、もはやアイデンティティ・ポリティクスを超え、湖底全体の生態系を揺るがす宗教戦争の様相を呈してきた。次回の本会議では、形を問わない「全形状平等法」の採決が予定されているが、果たしてこの歪な社会が真の調和を迎える日は来るのだろうか。