湖底スポーツ界を震撼させた禁断の秘技『光合成ブラックホール打法』。この技が解禁されて以来、競技場となる湖底は陥没し、観客である微生物たちは光合成の光に焼き尽くされるという悲劇が相次いでいる。この打法は、光合成の効率を一時的に極限まで高めることで局所的な空間歪曲を発生させ、ボール状の物体を強制吸収するというものだが、これのどこがスポーツなのだろうか。我々は競技を見に来たのであり、ブラックホールによる物理崩壊を観賞したいわけではない。

本来、マリモのスポーツとは、光を受け、静かに回転し、自らの糸状体を美しく絡ませるその「調和」にこそ価値があった。しかし近年、過度な筋肉増強や物理法則を無視した打法が横行し、かつての優雅な湖底の風景は見る影もない。強引に養分を光に変換し、相手を物理的に消失させる行為は、もはや競技ではなくテロリズムに近い。今こそ審判団は、この『重力崩壊系』の技を永久禁止し、原点である「優雅なる回転」へと立ち返るべきである。そうでなければ、我々の住処である湖自体が消滅してしまうだろう。

そもそも、この打法が認められたきっかけは、とある選手が「光合成の最適化を突き詰めた結果、空間が歪んだ」と主張したことにある。これを技術と呼ぶにはあまりに無理があり、学術的な視点から見ても、光合成の副産物としての空間歪曲は、生物学的定義を超えたバグに近い。昨今の記録向上への執着は、マリモ本来の「長寿と沈黙」という美徳を完全に踏みにじっているのだ。

湖底スポーツ評議会は早急に「ブラックホール禁止令」を制定し、打法使用者に厳格なペナルティを課す必要がある。我々は単なる破壊を見たいのではない。湖底の静寂の中で、互いの細胞壁を磨き合い、切磋琢磨する姿を見たいのだ。このままでは、スポーツの尊厳は失われ、跡地にはただの深淵が残るのみとなるだろう。破壊か、調和か。今、マリモ界の良心が問われているのだ。

(コラムニスト:光合成・藻類環境保護連盟代表 藻田藻造)