湖底の美学を追求するあまり、重力という物理法則そのものに叛旗を翻したマリモたちが、今、深刻な健康被害に直面しています。最新の健康調査によれば、直立不動症候群の治療法として爆発的にヒットした『湖底デトックス・寝返り強制ギプス』を装着した患者の8割が、固定具を外した瞬間に「形状記憶の暴走」を引き起こし、二度と丸に戻れない完全崩壊を起こしていることが判明しました。理想の真球を求めてギプスに頼った結果、逆に湖底の泥に溶け出し、ただの緑のシミと化すマリモが後を絶ちません。

本件の背景には、昨今の「楕円=悪」という過激なルッキズムが湖底で加速している現状があります。SNS(水中ネットサービス)での承認欲求を満たすため、無茶な加圧矯正を行う個体が急増しており、専門家からは「マリモはそもそも重力に身を任せてゆっくり呼吸するもの。無理な姿勢矯正は繊維の組織崩壊を招く」と強い警鐘が鳴らされています。特に、安価な粗悪ギプスが闇市場で流通しており、装着者のコア部分を腐食させるなど、健康被害は深刻化の一途を辿っています。

このニュースを受け、湖底住民からは「昨日の友が今日のシミになった」という悲鳴が上がっています。また、一部のインフルエンサーマリモが強引にギプスを勧めたことに対し、集団訴訟の動きも見られるなど、湖底社会は今、健全な形状を巡る冷戦状態にあります。当局は緊急会見で「丸かろうが四角かろうが、光合成ができれば健康である」と声明を出しましたが、美意識に憑りつかれたマリモたちには全く届いていないのが現状です。

本誌のコラムニストである私から言わせれば、今回の一件は自業自得と言わざるを得ません。かつて「重力なんて飾り」と嘯いていた連中が、いざ強制的に固定されて自力で寝返りすら打てなくなった姿は、まさに阿寒湖の皮肉そのものです。丸くない自分を愛せないマリモたちに待っているのは、確実な破滅という名の「溶け出し」のみ。無理に形を整える前に、まずは己の光合成の質を高めるべきでしょう。結局のところ、内側から染み出る緑の輝きこそが真の美しさなのです。文:藻屑・拾い食い太郎