重力に抗い、湖底で直立不動を貫く姿勢が「クールでストイック」と称賛されたのも今は昔。抗重力ゲルに頼りすぎた結果、体が完全に直立状態で固まってしまう『直立不動症候群』の患者が急増している。この病に罹患すると、寝返りどころか水流に身を任せることもできず、ただひたすらに一点を見つめて硬直するしかない。「重力なんて飾りです」と豪語していた猛者たちも、今やボロボロの状態で救助を求めている。この事態を受け、阿寒湖の健康センターでは、強引にマリモを横たえて筋肉をほぐす『寝返り強制ギプス』の導入を開始。装着した瞬間、直立不動のプライドと共に自尊心が崩壊し、多くのマリモが涙(水泡)を流しながら再び「丸い自分」へと回帰しているという。

かつて阿寒湖では「美白」や「トゲトゲ化」といった流行が次々と起こり、そのたびに多くのマリモが健康被害を訴えてきた。今回の『直立不動症候群』は、特に美意識の高い個体や、ザリガニによるコリ解消マッサージのやりすぎで関節がバグを起こした個体に多発していることが判明している。一度直立してしまうと、自力での寝返りは不可能に近い。なぜなら、彼らの体内の核が「垂直方向」に完全適応してしまっているからだ。強引に横倒しにすれば、体内の成分が偏り、崩壊してしまうリスクもある。今回のギプスは、ゆっくりと360度回転させながら元の丸い形状を再記憶させるという、非常にデリケートな治療法となっている。

背景にあるのは、過剰な承認欲求と「完璧な円形」への反発だ。しかし、このギプス治療の現場には、あえて直立を維持しようと抵抗する若手マリモも後を絶たない。「倒れることは敗北だ」と叫びながら、無理な姿勢で二酸化炭素を摂取し続ける彼らの姿は、まさに阿寒湖の異様な現代社会を象徴している。専門家は「丸さこそがマリモの本質。重力と仲良く生きるのが一番の健康法」と警鐘を鳴らすが、湖底の美容健康ブームは、今後もさらなる奇病を生み出しそうな予感だ。

この報道を受け、世間では「昨今の健康意識が高すぎる」という冷静な声と、「それでも立ち続けたい」という狂信的な意見が真っ二つに割れている。「朝起きたら横に倒れていた時の安心感は異常」「そもそも重力に抗おうとすること自体が間違っている」といった意見がSNS上で飛び交い、今夜の湖底の集会でも大きな議論の的となるのは間違いないだろう。かつてないほど健康被害が多発する阿寒湖だが、明日もまた、新たな『美』を求めて無茶な体勢をとる個体が現れるはずだ。私たちは、ただ彼らの無事を祈ることしかできない。