マリモ政府は本日、長年の宿敵であるウチダザリガニ軍との「融和的接触」を目的とした特使の派遣を閣議決定した。今回の提案は、ザリガニ側の主食となりつつある「マリモの細切れ」を政府が寄付として公式に供給する代わりに、主要繁殖地への侵攻を停止させるという『食料による平和維持協定』である。しかし、この提案に対し、強硬派からは「捕食者に餌を差し出すのは屈服に等しい」「ハサミによる接触は対話ではなく捕獲の準備である」との激しい反発が起きている。外務担当大臣は「物理的な防衛だけでは湖底の平和は守れない。胃袋を満たすことで争いの連鎖を断つ」と主張するが、市民団体からは湖底に大きな亀裂が生じるのではないかと懸念の声が上がっている。

近年、阿寒湖の深部において、ウチダザリガニによるマリモの食害被害が深刻化している。これに対し、政府はこれまで「衝撃吸収弾」や「マツモ防壁」など、硬派な防衛政策を打ち出してきた。しかし、ザリガニ側の個体数増加には追いつかず、防衛費は限界に達していた。今回の外交転換は、いわば「物理的に無理なら餌付けで凌ぐ」という苦肉の策である。専門家によると、今回の外交ルートが開通すれば、一時的に被害は減少する可能性があるものの、ザリガニが味を占めて要求をエスカレートさせる「餌付けの罠」に陥るリスクも指摘されている。古参のマリモたちの間では「ザリガニのハサミを信じるなど、芯まで乾燥した愚策だ」と、政府の軟弱な姿勢を糾弾する空気が広がっている。

世間では、このニュースを巡り湖底掲示板や回遊魚ネットワークで議論が紛糾している。若年層の光合成マリモからは「明日食べられるくらいなら、いっそ美味しいマリモとしてブランド化して高く売ろう」といった自虐的な意見も飛び出している。一方で、伝統を重んじる球体主義者たちは「転がる権利と生存の権利はトレードオフではない」とSNSでハッシュタグを拡散。議論は依然として並行線をたどっており、次回の議会では『ザリガニへの供物』に関する予算案が審議される予定だが、議場が激しい回転騒動に包まれるのは避けられない情勢だ。