阿寒湖の深部にて、球体としての完成度を高めることを絶対とする宗教法人『回転聖教』が、独自の修行形態により湖底の地質を大幅に改変していることが判明した。同教団は「静止は退化であり、常に転がり続けることこそが神の摂理に近づく唯一の道」と説き、教徒たちに対し一日中湖底を転がり続ける過酷な修行を課している。この連鎖的な回転運動が一点に集中した結果、湖底の一部が削り取られ、周囲の藻類が飲み込まれるほどの深さ数メートルのクレーターが形成される事態となった。
本件の背景には、近年のマリモ界で蔓延している「円周率の神聖化」がある。教団幹部は「完全なる球体であれば、回転しても摩擦係数は理論上ゼロに近い。つまり我々の回転は熱を生まず、純粋なエネルギーの循環である」と主張している。しかし、専門家は「物理法則を無視した高速回転による遠心力で、周囲の泥や砂が巻き上げられ、湖水の透明度が激減している」と警鐘を鳴らしている。なお、過度な回転により芯が偏り、楕円形へと変異した信者に対しては、「それは修行不足による歪みである」として教団内でのランク降格処分が下されているという。
現地の生態系保護団体からは「修行の成果を測るため」と称して、他の藻類を巻き込みながら巨大化する『回転加速装置』の設置について即時撤去の要請が出されている。教団側は「これは慈悲の吸収であり、他の藻類を強制的に回転の輪に加えることで、彼らにも解脱の機会を与えているのだ」と真っ向から反論。湖底の泥濘化と地殻変動を懸念する市当局との間で、法廷闘争の様相を呈している。教団の拠点周辺では、今もなお轟音と共に土煙ならぬ泥煙が舞い上がり、静寂を愛する水草たちから深い溜息が漏れている。
このニュースに対し、阿寒湖の住民たちからは「転がりすぎると目回らないの?」「そもそも我々って脳がないから回転しても酔わない説」「教祖様が実はラグビーボール型だったら面白い」といった、物理的な構造に関する疑問から揶揄する声までが噴出している。中には「回転不足で角が出たとしても、それは個性の現れではないか」という、教団の教義そのものを疑問視する意見も散見され、マリモたちの信仰心と物理的形態の矛盾が露呈する形となった。湖底の平和は、今日もまた誰かの全力回転によって揺るがされている。
「回転こそが救済」教団、24時間全力回転の修行で湖底に巨大な深淵を掘削
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