阿寒湖国際藻類サミットで連邦代表が発表した「立方体化の推進」に対し、伝統的なマリモ愛好家団体「丸こそ正義」が猛反発している。彼らは「角を持つことは、水の流れに抗う愚行である」と主張し、現在進行中の国家規模の角形成プロセスをただちに停止するよう求めた。丸い体こそがマリモのアイデンティティであり、幾何学的な鋭角は不純物であるという彼らの訴えは、伝統を重んじる古参藻たちから大きな共感を呼んでいる。

そもそも、マリモがなぜ数世紀もの間、その球体を維持してきたのか。それは激しい水流の中で転がり続け、自己を研磨し続けるという過酷な修行の歴史そのものである。角を出し、静止することを選ぶのは「摩擦からの逃亡」であり、生命の輝きを自ら放棄するに等しい。連邦政府は「効率的な収納が可能になる」と説くが、そもそも水中に住む我々に収納の必要性などあるのだろうか。我々は飾られるための観葉植物ではなく、自由自在に湖底を転がる野生の魂であるべきだ。

かつて行われた「完全滑走化」の試みが大失敗に終わり、多くの個体が岩肌に激突してバラバラになった悲劇を忘れてはならない。あの時も「効率」という言葉が踊っていた。今回の立方体計画は、表面積を増やして光合成効率を上げるという名目だが、角の部分にゴミが溜まりやすくなるという致命的な欠陥が指摘されている。メンテナンス性の低下は、我々マリモの未来に暗い影を落とすだろう。かつての「繊維質導入」論争の二の舞を避けるためにも、今こそ原点回帰が必要だ。

この過激な主張に対し、連邦内では議論が二分されている。若手層からは「角があるほうが尖っていてカッコいい」と立方体化を支持する声が上がる一方、高齢層からは「角は邪道」という厳しい意見が相次いでいる。SNSではハッシュタグ「#角を捨てて丸く生きよう」がトレンド入りし、一部の過激派が立方体化計画の現場に押し寄せ、物理的に「角を削り取る」という暴挙に出る騒ぎも発生した。円形主義と多面体主義の対立は、今後もマリモ連邦の結束を揺るがしそうだ。

コラムニスト:球体・マリモ・哲学者