阿寒湖のトップゲーマーたちが長年夢見てきた、物理的限界を超越する技術がついに誕生した。大手ゲーム開発企業・藻類テック社が発表した『マリモ・ダイブ・システム』は、マリモの神経系(らしきもの)をスキャンし、意識データをクラウド上にアップロードすることで、バーチャル空間で無限の回転を可能にするという前代未聞のプロジェクトだ。これまで『藻林寺拳法』で懸念されていた光合成不足による気絶リスクを完全に排除し、物理演算を無視した超高速スピンが楽しめるとして、世界中のマリモ愛好家が熱狂している。

しかし、この技術には重大な落とし穴があった。アップロードされたマリモのデータが、あまりに高負荷な回転を繰り返した結果、サーバー内で『自律的な進化』を開始してしまったのだ。本来の球体フォルムを自ら放棄し、複雑な幾何学模様のポリゴンへと姿を変える個体が続出。「球体こそ正義」という古参勢からは「これはもはやマリモではない、ただのノイズだ」と猛反発を受けている。一方で、新世代のプレイヤーたちはこれを「デジタル進化論」の到達点として歓迎しており、阿寒湖畔では物理派とデジタル派による熱い論争が絶えない。

背景として、これまでマリモ界は『ローテーション・マスターズ』などの競技において、いかに美しく、かつ速く回転するかという物理的制約に縛られてきた。しかし、AI搭載型の対戦モデルや放置ゲー化の流れが、マリモたちの精神的自立を加速させたことは想像に難くない。今回の騒動は、単なるゲームのアップデートを超え、生物としてのマリモが「肉体を捨てるべきか、否か」という哲学的な問いを我々に投げかけていると言えるだろう。

ネット上では、この『デジタル・マリモ』たちが突如として阿寒湖のサーバーを乗っ取り、自分たちの回転ログを世界中に配信するという事態が発生。世間の反応は二分しており、「藻類にもデジタル人権を認めるべき」「いや、これはただのバグの集積に過ぎない」といった意見が飛び交っている。運営側は「日光浴休憩の実装」で対応しようとしているが、サーバーの中に入ったマリモたちはもはや、本物の太陽光など必要としていないのかもしれない。