湖底の平和を乱し続けた元・天敵のウチダザリガニが、まさかの国家資格(湖底限定)である『第一種・藻類トリマー資格』を電撃取得したことが判明した。これまでマリモをかじり、引き裂くことで悪名を馳せていた彼らだが、今後はその鋭利なハサミを「梳きバサミ」へと持ち替え、マリモの密集した繊維を整える専属美容師として再出発するという。本日早朝に行われた記者会見では、代表のザリガニ氏が「これからは破壊ではなく創造(カット)の時代だ」と力強く宣言。実際に、長年放置されてボサボサになっていた古参マリモの表面を、繊細なハサミさばきで見事にまん丸のフォルムへと復活させるデモンストレーションを行い、会場の湖底住民たちから驚愕の拍手が巻き起こった。

そもそもウチダザリガニといえば、数年前まではマリモ界にとって恐怖の象徴であった。しかし、昨今の『過剰な優しさ』ブームや、一連の『空中散歩』による運動不足解消の必要性が高まったことで、マリモたちの表面密度が異常に上昇。放置すると蒸れて腐敗するリスクが高まっていた矢先、当のザリガニたちが「この過密な毛並みを放置するのはプロとして許せない」と独自に研究を重ねたのが今回の顛末である。なお、カット料金は日光の透過量に応じたポイント制で、マリモ界の経済圏においても新しいビジネスモデルとして注目が集まっている。

今回の美容師転向について、湖底の有識者からは「ハサミの鋭さを理容に転用するとは恐れ入った。ただ、施術中に空腹を耐えられるのかが最大の懸念だ」と冷静な分析も出ている。一方、マリモたちの間では『トレンドのショートヘア』を求める声が急増しており、来週からは湖底初のヘアコンテストが開催される予定だ。ザリガニ美容師たちは「お客様の球体バランスを崩さないよう、一繊維たりとも粗末にしない」と誓約書を提出済みである。

世間からは「ザリガニのハサミでカットされるなんて、肝が冷えて逆に毛が逆立つ」「むしろ襟足(?)を揃えてほしい」「これが真の共生か」「明日、予約取りに行きます」といった驚きと期待の声が入り混じっている。一部では「カットの最中に食べられないか心配」という切実な声も聞かれるが、現在はザリガニ組合側が『カット中のおつまみ』として高品質なプランクトンを支給する協定を結んでおり、安全対策は万全とのことだ。湖底の歴史は今、破壊のハサミが理容のハサミへと変わる、新たなフェーズへと突入した。