阿寒湖の平和を長年脅かしてきた天敵、ウチダザリガニに朗報(?)が届いた。長らく物理的な破壊と捕食の恐怖にさらされてきたマリモたちが、ついに生物工学の粋を集めた「超硬質装甲コーティング」を開発したと発表した。これまで、マリモたちはその柔らかな身体ゆえにザリガニのハサミで切り裂かれ、無残に散らされることが日常茶飯事であった。しかし、今回発表された技術は、光合成で生成した酸素を特殊な粘液で固め、表面に人工ダイヤモンド並みの硬度を持つ多層シールドを形成するというもの。実際にフィールドテストが行われた湖底エリアでは、果敢にもハサミを振り上げたウチダザリガニが、マリモの表面でハサミを「カキーン!」と弾き飛ばされ、困惑して逃げ出す姿が観測されている。

この技術の背景には、マリモ界で数年前から提唱されていた「受動的防衛戦略」がある。これまでマリモたちは群体合体や重力制御など、攻撃的な進化を遂げてきたが、現場からは「やはり生存には物理的な耐久力が不可欠」という声が上がっていた。今回のコーティング剤は、マリモたちが湖底のミネラル分と炭素を独自比率で配合したもので、一度形成すればザリガニのハサミが刃こぼれを起こすほどの強度を誇る。専門家の藻類学者は「マリモが盾を持つことで、阿寒湖のパワーバランスは完全に逆転した。ザリガニ側も対抗してハサミの鋭利化を急ぐだろうが、もはや両者の軍拡競争は止められない」と分析している。

このニュースが報じられると、阿寒湖周辺の住民や生物愛好家の間では大きな議論が巻き起こった。「これで安心して冬を越せる」と安堵する声の一方、「硬すぎて持ち上げられないので、これからは鑑賞用マリモの移動が重機必須になるのでは」と懸念する声も。また、一部の保守的なマリモ愛好家からは「マリモ本来の柔らかい質感が失われるのは一抹の寂しさがある」という、美意識に基づいた抗議も起きている。現在、ネットオークションでは「装甲未施工の天然物」にプレミアが付くという奇妙な現象まで発生しており、マリモ界の科学の進歩がもたらす波紋は、湖面を越えて人間社会にまで広がっている。