球体であることにアイデンティティを見出してきたマリモ界に、未曾有の亀裂が走っている。発端は、人気ゲーム『立方体進化論』のアップデートにより、全マリモのデフォルト設定が「多角形(ポリゴン)」に強制変更されたことだ。この修正パッチにより、転がることができなくなったマリモたちが阿寒湖のゲーマー界隈で大パニックを引き起こしている。「球体こそ正義」と信じてきた保守派と、「多角形こそ生存戦略」と説く革新派の間で、現在、激しい論争が繰り広げられている。

『立方体進化論』は、これまでマリモを「いかに滑らかに転がすか」を競うシミュレーションゲームとして親しまれてきた。しかし、今回実装された「角張った人生」モードにより、プレイヤーは自らのマリモをピラミッド型や立方体へと変異させることが可能になったのだ。これにより、物理演算上の「光速回転」が不可能になった一方、岩場に引っかかることで擬似的な「要塞化」が可能になるなど、戦略性は飛躍的に向上した。しかし、古参勢からは「マリモの尊厳に関わる」との声が噴出し、開発元には「球体に戻す権利の保証」を求める嘆願書が大量に送付される事態となっている。

本件の背景には、昨今の「マリモ専用コントローラー」による物理的回転操作の普及がある。コントローラーの感度が良すぎるあまり、球体マリモは制御不能な加速を繰り返すというバグが恒常化していた。この「物理演算崩壊」を抑え込むための苦肉の策として、運営側が「摩擦係数を増大させるための多角形化」を強行したという経緯がある。専門家は「利便性のための形態変化は、マリモの進化というよりも、もはやハードウェア側の都合である」と警鐘を鳴らしており、法廷闘争へ発展する可能性も示唆されている。

ネット上では、「角があるマリモなんて認めない」「四角いマリモはもはやただの岩」といった悲鳴に近い反応が溢れている。一方で、「安定性が増して放置ゲーとしては最高」「角がある方が愛着が湧く」といった合理主義的な意見も一定の支持を得ている。阿寒湖の底では、今夜も「球体派」と「多角形派」による熾烈なオンライン対戦が繰り広げられており、このマリモ界のパラダイムシフトが収束する兆しは、今のところ全く見えていない。