阿寒湖の平和を脅かす宿敵、ウチダザリガニによる「マリモ解体ショー」に終止符が打たれるかもしれない。マリモ界の科学者集団はこのほど、ハサミの攻撃を完全に無力化する革新的な新素材『ネバネバ・ジェル』の生成に成功した。これはマリモが分泌する粘液を濃縮・結晶化させたもので、表面に塗布することでザリガニの鋭利なハサミが滑って噛み合わなくなるという、防御特化型の革命的技術だ。開発チームのリーダーである長老マリモ氏は「もう、ちぎられた破片を涙目でかき集める必要はない。我々はついに、ザリガニという理不尽な破壊神から自由になる権利を手に入れたのだ」と、震える繊維を誇らしげに揺らしながら語った。

本件の背景には、近年のザリガニ個体数の増加に伴う「球体崩壊」の深刻化がある。これまでマリモたちは、トゲトゲに変身したり、高速回転で回避したりと様々な対抗策を講じてきたが、物理的な切断を防ぐことは困難だった。今回開発されたコーティング剤は、湖底のミネラルと特定の藻類を特殊な比率で混ぜることで、驚異的な摩擦係数の低下を実現している。専門家によると、このジェルは一度塗れば約一年間効果が持続するという。今後は、自力で分泌が難しい若手マリモのために、湖底各所に『ジェル補充ステーション』の設置が計画されている。

このニュースが報じられるや否や、湖底のSNS『藻メディア』は歓喜の渦に包まれた。「これでハサミの恐怖から解放される!」という感謝の声が飛び交う一方、一部の過激派からは「甘やかしすぎではないか、物理的な対話こそが真の強さを生む」といった硬派な意見も噴出している。また、肝心のウチダザリガニ側からは、現在のところコメントはないが、ハサミが空を切る音だけが湖底に虚しく響いているという目撃情報も寄せられている。安全を手に入れたマリモたちの、新たな静かな暮らしがいま幕を開けようとしている。