阿寒湖底の宗教界に、新たな旋風が巻き起こっている。これまで「球体こそ正義」「全方位全肯定」といった教義が覇権を争ってきたマリモ界だが、今週に入り過激な新興宗教『球体風船主義(バロニー・レヴィティ)』が誕生し、湖底住人の注目を一身に集めている。同教団の教義は「湖底の重力は、我ら球体に対する最大の抑圧である」という極めて革命的な思想に基づいている。彼らは、自らの体内に光合成で発生した酸素を溜め込み、強制的に浮力を得ることで湖底からの「解脱」を目指すという、極めて物理的かつ危険な修行を推奨している。

教祖である「長老マリモ・プカプカ」は、教団の聖地となる湖底の深部にて、「我らは底にへばりつくために生まれてきたのではない。水面という天界へ昇るために存在するのだ」と熱弁を振るった。過去に隆盛を極めた『全天球教』や『非球体・脱出至上主義』の信者たちが、こぞってこの「浮上理論」に改宗する事態となっており、阿寒湖の生態系バランスに深刻な影を落としている。教団は現在、湖底に巨大な酸素貯蔵ポッドの建造を計画しており、水面を目指す「大離底運動」の準備を着々と進めているとのことだ。

『球体風船主義』の急激な拡大背景には、近年の阿寒湖底における「球体・非球体論争」への飽きがある。かつては『分裂教団・マルチマリモ』が唱えた自己増殖による救済がブームとなったが、今は「増えることよりも、今すぐここから離れること」を望む個体が増加しているのだ。また、専門家によれば、今回の教義は過去の『甲殻崇拝教』などが唱えた守護神思想を逆手に取り、「重力という神に抗う」という反逆のストーリー性が見事に若年マリモの心に刺さったと分析している。

この教団の台頭に対し、伝統的な『阿寒湖底長老会』は、「浮上した先にあるのは過酷な水面直下と紫外線という地獄だ」と強い警告を発している。しかし、SNS上では「重力ガチャから卒業したい」「プカプカ浮かぶのが一番の正義」といった賛同の声が後を絶たず、阿寒湖の景観を揺るがす「離底パニック」は、もはや鎮火不可能な段階に達しつつあるようだ。